あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。


6年ほど続けたWeb日記を一昨年の6月から1年半の間、ミクシイに移行してみたんだけど、読む人が特定されているといろいろ不都合も多く、もう一度ブログに戻してみた。日々の出来事をつらつら書くと、どうしても仕事のことが中心になってしまうので、映画や音楽の話を中心にすることにしたのだが、とりあえず、2カ月続きました。ミクシイのときと違って、読んだ方からのレスはほとんどないけど、まあ、気楽ではある。


マイヒーロー


さて、チャウ・シンチーの「トリック大作戦」(1991)と「マイヒーロー」(1990」を観た。いずれも日本未公開作品だが、チャンネルNECOでシャウ・シンチーの特集を組んでいるんである。「トリック大作戦」は出だしから面白くて期待し過ぎたためか尻つぼみ。「マイヒーロー」は部分的にはいいのだが、その場の思いつきで作ったようなシーンも感じられて、見続けるのが辛かった。彼がブレイクする前の映画ばかりだから、ファンにはたまらないだろうけど、私はこれまでの中では「詩人の大冒険」が一番よかったなぁ。


山田洋次の「武士の一分」も観た。古くは倍賞千恵子の「下町の太陽」、「馬鹿が戦車でやってくる」などハナ肇を主演にしたいくつかの映画、そのほか、松本清張の「霧の旗」なんてシリアスのもあったなぁ。シリーズ化された寅さんと釣りバカシリーズの合間にもいくつかの佳作を生み出している。私のベストは「同胞」である。さて、「武士の一分」は山田監督らしい真面目な作りで、ストーリーは極めてシンプルだ。しかしながら、最近の映画らしからぬのんびりした筋運びと間で2時間という長めの作品になっている。笹野高史はハマリ役でこの映画に欠かせない存在だと思うし、山田監督作品ではお馴染みの赤塚真人をはじめ、緒形拳、板東三津五郎、小林稔侍、大地康雄ほかの役者も素晴らしい。だが、この映画の一番の話題は木村拓哉であろう。キムタクも映画初挑戦の檀れいも驚くほど素晴らしい熱演であり、特に劇中人物になりきったキムタクの演技は観客の期待に見事に応えている。だが、彼が頑張ったというのと、もし別の俳優であったら……というのは別の話。私は違う俳優で見たかった。


番いの小鳥の使い方をはじめ、つましくものどかで愛のある家庭を描く優しい視線は、長く庶民のありふれた日常を描いてきた山田監督ならではである。が、“武士の一分”が、「失明により何の役にも立てなくなったあげくに妻を寝取られた男の面目」という意味のこぢんまりした世界に収まってしまったようで、そこは私が、「山田監督ってこの程度だったっけ? 」と物足りなさも覚えた要因にもなっている。


いずれにしても、山田監督は年をとった。これを老成・老練とみるかどうかだが、個人的にはちょっと寂しかったりもする。