ラットプルは大体どこのジムにも置いてあるマシンの一つかと思います。
動作は鉄棒の懸垂と同様で、体を持ち上げる代わりに頭上のバーを引いて重りを持ち上げます。
懸垂と同じく背中(主に広背筋)を鍛えるのが目的ですが、多くの人がちゃんと背中を鍛えられていません。
背中の筋肉はしっかり収縮させると強烈な痛みを感じるので、その痛みを嫌がる人が無理に重量や回数にこだわってやると出来るだけ背中を刺激しないフォームになりがちで、結果としていつまでたっても背中の筋肉が発達しないという事になります。
ですがこの事を逆に利用して、わざと背中(広背筋)以外の筋肉を鍛える方法もあります。
・バーを握ったら肩を出来るだけ高く上げ顎につけるつもりで首をすくめます。
・背中は軽く丸め若干猫背気味になり、肩を上げたまま肘を横に張りバーを頭の方に引き付けます。
・一瞬その姿勢をキープしてゆっくり戻すのを数十回繰り返します。
・可動域が狭いので回数はかなり高回数で追い込みます。
「広背筋の鍛え方」としては間違ったフォームの見本のようなやり方ですが、広背筋がほとんど使われないために普段なかなか鍛えにくい三角筋後部や大円筋を刺激する事が出来ます。
このように一見同じ事をやっているようでも目的が違えば注意すべき点がまるで違ってくるので、他人のやっている事を意味もわからず見よう見まねでやっても期待した効果が得られるとは限りません。
どんなトレーニングでもまず目的をはっきりさせ、それに適した手段を選択しましょう。
ちなみに今回紹介した方法は肩の構造上かなり不自然な動きになるので、あまりスピードを上げず慎重に行う必要があります。
このやり方に限らず、以前「肩トレのジレンマ」というタイトルで書いたように三角筋の筋トレは肩の機能性や運動性を向上させるのとは真逆の考え方が必要になるので、何のために鍛えるのかという目的を見失わないようにしましょう。
繰り返しになりますが、まず目的をはっきりさせるというのがトレーニングで最初に考える事ではないかと思います。