☆櫻坂46「自業自得」MV分析 踊らないセンター 山下瞳月の圧倒的存在感とグループの強い信念☆ | AKB48G&日向坂46応援ブログ

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 櫻坂46が9thシングル『自業自得』を2024年6月26日にリリースする。6月5日にリリースに先立って表題曲「自業自得」のMVが公開されると、わずか2日で100万回を突破するなど大きな反響を呼んでいる。映し出されているのは常に新しいクリエイティビティを追求し続ける櫻坂46の現在地。呼吸することを忘れてしまうほど、洗練された映像美と覚悟を感じられるメンバーの表情は櫻坂46の新たな門出を描いているようだ。

 本作は櫻坂46の「Buddies」や乃木坂46の「アナスターシャ」といった坂道シリーズの楽曲を数多く手掛ける中村泰輔が作曲・編曲を担当。まず耳を引くのは、イントロから鳴り響くシンセの音色。これまでの櫻坂46の楽曲と比べてもダンスミュージック的な趣を感じさせ、どこかK-POPの要素も窺わせる。

 MVの監督は『MTV VMAJ 2021』最優秀邦楽新人アーティストビデオ賞を受賞し、櫻坂46の「流れ弾」を筆頭に、乃木坂46の「制服のマネキン」や欅坂46の「サイレントマジョリティー」などのMVを手掛けてきた、坂道ファンにとってはもはやお馴染みの池田一真。彼の特徴は、たとえば乃木坂46の「シンクロニシティ」のように映像的にはシンプルな作りの中で、ドキュメンタリーチックかつワンシチュエーションでダンスを完結させること。パフォーマンスの合間にメンバーのサイドストーリーを取り入れる手法は、それこそ欅坂46の「サイレントマジョリティー」や「エキセントリック」などでも見られたが、何よりも第一には演者のパフォーマンスを最大限に魅せる映像を得意としている。

 本作について、池田監督は自身のX(旧Twitter)の中で、「信念をまっすぐに伝える姿をシンプルに描いています。感情の起伏、力強さの中に隠れた繊細な部分。様々なメンバーの表現を見つけてみてください」とコメント。センターの山下瞳月を中心に、過去に捨て去った自分に再び戻ることはないという信念の表情が映像を通して感じられる。

 まず、印象的なのは冒頭の山下がコップに注がれた水を一気飲みしているシーン。前作「何歳の頃に戻りたいのか?」ではセンターの山﨑天がコップ一杯のトマトジュースを飲み干しているシーンが冒頭にインサートされており、前作とのつながりを感じさせる、ファンにとっては考察しがいのある内容だ。「血は水よりも濃い」といったことわざや、漢方学における「気血水」の考え方のように水と血(トマトジュース)は密接な関係にあるが、どちらも人間を構成する大切な要素である。「自業自得」のMVにおける水とはまっさら(=何物にも染まっていない透明)であり、血とは対照的なものとして描かれる。これはグループにおける山﨑と山下の立ち位置をも暗示しているといえるだろう。そして2番が終わり、円形ステージの中心で踊るメンバーに向けて赤色と青色の液体が返り血のように飛び散る。水と血がひとつのポイントなのであれば、これは動脈と静脈、つまりは血を表しているのではないだろうか。かなりドラスティックな映像に仕上がっているが、返り血を浴びながら踊る姿は美しい。

 

 そして今作はこれまで数々の衣装を手掛けてきたRemi Takenouchiが衣装をデザイン。「何歳の頃に戻りたいのか?」では“山﨑天、七変化”をテーマに色彩豊かかつインパクトのある衣装をスタイリングしていたが、今作での池田監督からのオーダーは“シンプルで儚いワンピース”とのこと。白いロングワンピースは何色にでも染まれるという間接的なメッセージにも受け取れる。

 今作のフォーメーションは、センターの山下を中心に田村保乃と守屋麗奈が脇を固めるフォーメーション。三期生からは谷口愛季、中嶋優月、的野美青、村井優、村山美羽と、これまでで最も多い人数が選ばれており、まさに新体制としての意味合いが大きいだろう。

 1番では椅子に座る山下を囲うように他のメンバーが円になってダンスを踊る。山下のその表情は力強く、ひときわ目を引く存在感を放っていた。山下がセンターを務めた三期生楽曲「静寂の暴力」では、加入して半年の彼女たちのピュアさと激情的なダンスがドキュメンタリー的に描かれていたが、本作もまた「静寂の暴力」を手掛けた池田監督ということもあり、山下の表現力がドラマティックな映像によって引き出されている。特に筆者が驚かされたのは「静寂の暴力」では見られなかった、山下の狂気的な表情だ。返り血を浴びながら笑顔で佇む山下の姿には一瞬にして釘付けになってしまった。揺れ動く感情をまっすぐに伝える山下の表情、力強いダンスはまさに櫻坂46のセンターとして躍動していた。

 毎シングルごとにパフォーマンスを更新してくる櫻坂46だが、今作も想像を超えてきた。特に三期生の成長ぶりが著しく、確実にグループの層が厚くなっていることを実感させられた。映像の完成度が高いのは言うまでもないが、ライブではどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、早くも楽しみだ。