デザインは意匠で保護すべきでしょうか?
それとも商標で保護すべきでしょうか?
意匠権は、指定した物品(例えば包装紙)の意匠(例えばキャラクターのデザイン)に権利が及びますので、指定した物品とは異なる物品(例えばTシャツ)の意匠(例えば同じキャラクタのデザイン)には権利が及びません。
商標権は、指定した商品(例えば自動車)や役務(例えば自動車の販売)について使用する商標(例えばキャラクターのデザイン)に権利が及びますので、指定した商品と異なる商品(例えば自動車のおもちゃ)や指定した役務と異なる役務(自動車のおもちゃの販売)について使用する商標(例えば同じキャラクターのデザイン)には権利は及びません。
商標は平面的なデザインだけでなく立体的なデザインも「立体商標」(平成8年の法改正で導入された制度)として保護の対象になっていますので、デザインが立体的な場合、意匠でも商標でも保護が可能になります。同じデザインを意匠と商標で保護する戦略を「知財ミックス戦略」といいます。(特許と意匠の知財ミックス戦略もあります)
<商標のメリットその1>
意匠はデザインを公開してしまった後の出願は新規性喪失の例外の適用が可能な場合を除き、登録は認められませんが、商標はデザインを公開した後でも出願して登録を受けることが可能です。このため、意匠出願せずに商品の販売を開始しても商標出願ができるということです。
<商標のメリットその2>
意匠の権利期間は出願日から25年ですが、商標は更新により権利が永久に存続します。
<商標のメリットその3>
意匠は物品を1つしか指定できませんが、商標は複数の商品を指定することができます。また、商標出願した後でも新たに別の商品を指定した商標出願をすることができます。
<商標のメリットその4>
意匠は事務所費用が約23万円(当事務所の場合)、10年分の登録料が143,800円、合計約34万円かかりますが、商標は一区分の場合、事務所費用が約13万円(当事務所の場合)、10年分の登録料が28,200円、合計約16万円(意匠の1/2)で済みます。
<商標のメリットその5>
意匠は物品の美的外観ですので、文字は除外して類似が判断されますが、商標は識別標識ですので、文字を考慮して類似が判断されます。
<商標のデメリットその1>
商品名を使わずに立体的形状のみによる立体商標の登録例が少ないところを見ると、立体的形状のみによる立体商標は意匠よりも登録され難いように思います。
参考「活用しやすい立体商標制度への一考察」パテント2017
<立体的なデザインの商標の事例>
ゲームボーイ(商標登録第6036546号)
商標権者:任天堂株式会社
出願日2017年8月23日、登録日2018年4月20日
発売日1989年4月21日
【登録商標】
【指定商品】
第18類: かばん金具,がま金,蹄鉄,皮革,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,財布,小銭入れ,スーツケース
第25類: 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服,帽子,スカーフ,マフラー
指定商品にコントローラが含まれていないのが不思議です。
スーパーファミコン(商標登録第5964875号)
商標権者:任天堂株式会社
出願日2016年12月5日、登録日2017年7月21日
発売日1990年11月21日
【登録商標】
【指定商品】
第9類:プログラムを記憶させた記憶媒体等
第28類:コントローラ等
ファミリーコンピュータ(商標登録第5870862号)
商標権者:任天堂株式会社
出願日2015年12月28日、登録日2016年7月29日
発売日1983年7月15日
【登録商標】
【指定商品】
第9類:プログラムを記憶させた記憶媒体等
第14類:キーホルダー等
第28類:コントローラ等
きのこの山の立体商標(商標登録第6031305号)
商標権者:株式会社明治
【商標法第3条第2項適用】(全国レベルで需要者の間に周知であることが必要)
【登録商標】
卓上しょうゆの立体商標(商標登録第6031041号)
商標権者:キッコーマン株式会社
【指定商品】
第30類:卓上用容器入りしょうゆ,しょうゆ
【商標法第3条第2項適用】(全国レベルで需要者の間に周知であることが必要)
【登録商標】
50年以上変わらないデザインですので、
全国的な周知性が認められたものと思われます。
椅子の立体商標(商標登録第5446392号)
商標権者:カール・ハンセン&サン ジャパン株式会社
指定商品:第20類 肘掛椅子
【商標法第3条第2項適用】
カール・ハンセン&サンは創業100年を超える歴史のあるデンマーク家具メーカーですので、
全国的な周知性が認められたものと思われます。
その他、文字や図形のない立体商標の登録例としては、
コカ・コーラのボトル、ヤクルトの容器、ゴルチエのビンがあります。
出典:日テレNEWS24
<知財ミックスの事例>
糸ようじのデザインについて意匠に係る物品「歯間清掃具」で
意匠登録(登録第764355号)を受けています。
意匠権者:小林製薬株式会社
登録日から10年(今は出願日から25年)の平成11年9月22日に
権利は消滅しています。
物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠は、
特許法又は実用新案法によって保護されるべきものという理由で、
意匠の保護対象から除外されています(意匠法5条3号)。
意匠審査基準の機能的形状の評価では、
「機能的な要求の実現に造形的な自由度があり、
その形状でなければならない必然性がない場合の形状については、
その造形的な特徴を考慮する。」(詳しくは意匠審査基準22.1.3.1.2)
としています。
糸を支えるU字状の部分と直線状の持つ部分は、
物品の機能を確保するために不可欠な形状ですが、
持つ部分の端の形状が独特な形状になっていますので、
その形状に造形的な特徴があるとして意匠登録されたものと思います。
糸ようじのデザインは意匠と同じ形状について
立体商標(登録第4425480号)で登録されています。
商標権者:小林製薬株式会社
登録日:平成12年10月20日
出願日:平成11年2月17日
3条2項(使用による識別力の獲得)記事なし
【指定商品】21類:デンタルフロス
商標審査便覧では
「立体商標の識別力に関する審査の具体的な取扱いについて」
商標が商品の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない形状
(例えば、立体的形状が商品の機能又は美感に資する目的のもの)
のみからなる立体商標は識別力を有しない、とされています。
(詳しくは商標審査便覧41.103.04)
糸を支えるU字状の部分と直線状の持つ部分は
商品の機能に資する目的の形状ですが、
持つ部分の端の形状が独特な形状(予測し得る範囲を超えた形状)
になっていますので、それが自他商品を識別することを目的としたもの
と認められて商標登録されたものと思います。
意匠の物品(歯間清掃具)と商標の指定商品(デンタルフロス)とは範囲が異なります。
デンタルクロスは細い繊維(フィラメント)を束ねて糸状のものを使用しますので、
上記の場合は歯間清掃具の方がデンタルフロスよりも広いですね。
知財ミックスによりデザインを保護することにより、
意匠と商標が互いに補いあってデザインを保護することができる
というメリットがあります。
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