1つの出願から複数の権利が生まれる仕組み
が意外と知られていません。
なぜ、そんなことをするかといいますと、
1つの権利では守れる範囲が限られるため、
権利範囲からわずかに外れるものも権利侵害として
訴えられるようにするためです。
また、特許では権利侵害として訴えられないが、
意匠なら権利侵害として訴えられる場合があるからです。
分割出願だけを使って複数の権利が生まれますが、
出願変更も使うことにより複数種類の権利が生まれ、
多面的な保護が可能になります。
<分割出願とは>
出願の分割とは、2つ以上の発明を含む特許出願の一部を
新たな出願とすることをいいます。
分割された新たな出願は、所定の要件を満たすことで、
元の出願(原出願)の出願時に出願したものとみなされます。
<出願変更とは>
出願の変更とは、出願の形式を変更することをいいます。
具体的には、次の出願相互における形式の変更が可能です。
①特許出願 ⇔ 実用新案登録出願
②特許出願 ⇔ 意匠登録出願
③実用新案登録出願 ⇔ 意匠登録出願
なお、出願の変更ではありませんが、
登録済みの実用新案から特許出願することも可能です。
<具体的事例>
筆者が経験した以下の事例では、
1つの特許出願から3つの特許権と、
2つの意匠権が生まれました。
特に、出願後に模倣品が出願した場合に
有効な方法だと思います。
対象の発明品は内視鏡下外科手術に使われる挿入器具です。
(上が平面図、下が断面図)
<出願から権利化までの経緯>
・2010.7.13:上記挿入器具について特許出願(特願2010-158599)を行う。
最初の出願は代理人を介さずに出願人が手続し、以下の手続きを代理。
・2014.10.31:4つの分割出願(特願2014-223692、693、694、695)を行う。
・2014.10.31:4つの分割出願のうちの2つの特許出願(特願2014-223694、395)
をそれぞれ全体意匠の意匠出願(意願2014-24524)と
部分意匠の意匠出願(意願2014-24525)に変更する。
・2015.1.23:原出願が特許(特許5683855)される。
・2015.4.24:全体意匠が登録(登録1524865)され、
部分意匠が登録(登録1524866)される。
・2015.10.2:2つの分割出願が特許(5813848、849)される。
以上により1つの特許出願から3つの特許権と2つの意匠権が成立しました。
<留意点>
特許出願から意匠出願に変更することを予定している場合、
意匠出願に必要とされる6面図(物を6方から見た図)を
特許出願の段階で添付していなくても
6面図を作成可能に明細書及び図面を記載していればokです。
ただし、形状を表わす図(平面図は断面図等)は正確に書いておく必要があります。
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