ダイソンの知財ポジショニング戦略とは? | 知財を活用した「知財ポジショニング戦略」 徹底解説!

知財を活用した「知財ポジショニング戦略」 徹底解説!

仕組みやモノのアイデア権利化コンサルタント・弁理士 遠藤 和光

ダイソンと言えば、何を思いますか?

 

 

吸引力で有名な掃除機メーカですかね~

これからダイソンの知財ポジショニング戦略

を説明します。

 

 

 

知財ポジショニング戦略とは、

独自のポジションを特許や商標などの知財で守ることです。

これにより他社の同じポジションへの参入障壁ができますので、

例えば高くても売れる商品となり高収益が期待できます。

 

 

ダイソンのキャッチコピーは

吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機です。

 

これを聞いて皆さんどう思いますか?

吸引力が強い!

って思いませんでしたか?

 

 

 

 

図1は、平成18年に国民生活センターがサイクロン方式の掃除機について

吸引力の比較テストを行った結果を示すものです。

 

図1の縦軸は吸引仕事率(=吸引力)を示しています。

No.1~No.3は紙パックのあるサイクロン方式、

No.4はダイソンの紙パックのないサイクロン方式です。

 

No.1~No.3は吸い込んだゴミの量が増えるに従って、

吸引力が下がっていますが、

No.4の吸引力は低い値ですが、変化していません。

つまりダイソンのキャッチコピーは嘘を言っていないのです。

 

 

 

<ダイソンのポジショニングマップ>

サイクロン方式の掃除機について吸引力の比較テストを行った際の

検体購入時期(2005年9月~10月)における

サイクロン方式の掃除機のポジショニングマップを作成しました。

 

ポジショニングマップとは、2つの軸を使って自社の商品・サービスと

競合他社の商品・サービスとの位置付けを視覚化したものです。

 

ダイソンのポジショニングマップは

横軸を価格、縦軸を吸引力安定性としました。

 

 

 

ダイソンは価格が高くて吸引力安定性が大きいという

独自のポジションを築いていることが分かります。

 

 

 

<ダイソンのポジジョンを守る商標>

ダイソンは、上記のポジションを守る商標4つ取得しています。

ポジションを守る商標は以下のようなキャッチフレーズが適しています。

 

ダイソン吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。(登録5135136)

吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。ダイソン(登録5136329)

dyson 吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。(登録5136330

吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。dyson(登録5136331)

 

最初に「ダイソン」又は「dyson」が登場するものや、

最後に「ダイソン」又は「dyson」が登場するものがあります。

 

商標審査基準がキャッチフレーズの登録条件について

「商品・役務の宣伝広告だけでなく、造語等としても認識できる場合」

緩和されたので、今後は社名が無くても商標登録されるかもしれません。

確実に商標登録するためには、社名を入れるのがいいですね!

 

ダイソンの登録商標は上記の他に「DYSON」(登録4479791)を含む

合計76個も取得しており、出願中のものが17個もあります(2018.11.25現在)。

 

 

 

<ダイソンのポジジョンを守る特許>

ダイソンのポジションを守る特許として、3つの特許を

ホームページ上で公開しています。

 

特許番号:サイクロンテクノロジーJP4546015/JP3940082/JP5319511

搭載されている最新機種:ダイソンV6シリーズ、DC74、DC63、DC62、DC61

サイクロンテクノロジー:JP4546015/JP3940082/JP5319511

(出典:ダイソンHPの「性能試験と特許番号について」)

 

 

最初に記載されている特許を紹介します。

「家庭用電気掃除機」(特許4546015)

出願日:2001.3.19、登録日:2010.7.7

請求項1:(符号は筆者が追加)

空気の流れからごみ及びほこりの粒子を分離する装置10を

組み込んだ家庭用電気掃除機において、

上流サイクロン分離器12及び複数の下流サイクロン分離器26を備えていて、

これらは相互に平行に配置され、各々の下流サイクロン分離器26は、

一部が、上流サイクロン分離器12の内部に突き出ていて、

各々の下流サイクロン分離器26の縦軸は、

上流サイクロン分離器12の縦軸に対して傾けられていて、

下方向で相互に近づいていることを特徴とする家庭用電気掃除機。

 

 

次に記載されている特許は

「吸引掃除機」(特許3940082)

出願日:2002.1.28)、登録日:2007.4.6

請求項1の概要:

複数のサイクロンのそれぞれが外壁を有した

テーパ状の本体を有し、少なくとも各外壁の一部は

吸引掃除機の外面の一部を形成したもの。

 

 

その次に記載されている特許は

「吸引掃除機」(特許5319511)

出願日:2009.12.22)、登録日:2013.7.19

請求項1の概要:

複数のサイクロンのそれぞれが外壁を有した

テーパ状の本体を有し、

サイクロンが一体成形部品内に組み込まれ、

一体成形部品が吸引掃除機の外面の一部を形成している成型された外壁を備え、

成型された外壁が、サイクロンそれぞれの外壁の少なくとも一部分を含むもの。

 

 

3件ともサイクロンを用いていますね。

サイクロンはテーパ形状の筒であり、

先端に進むにつれて流速が速くなり、

ゴミが空気から分離されやすくなります。

 

 

ホームページで堂々と特許番号と特許製品の機種を

紹介することは、他の国内メーカではやっていません。

一般消費者向けに信頼性が高いことを

アピールしているものと思われます。

 

 

ダイソンのCMでスケルトンの模型を見せています。

ダイソンは「隠すよりも見せる」戦略ではないでしょうか?

 

 

ダイソンのように後発組として

新たな広告で市場に打って出る場合は

他の業界の参考なりますね。

 

 

そして独自のポジションを商標と特許で守ることで

高収益が得られるビジネスモデルになっています。

 

 

これがダイソン知財ポジショニング戦略です!

素晴らしいですね!

 

 

 

 

※追伸

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