登録になったらそのことを表示しましょう! | 知財を活用した「知財ポジショニング戦略」 徹底解説!

知財を活用した「知財ポジショニング戦略」 徹底解説!

仕組みやモノのアイデア権利化コンサルタント・弁理士 遠藤 和光

1.特許・実用新案登録・意匠登録・商標登録の表示

 

特許、実用新案登録、意匠登録又は商標登録を受けた場合、その旨を表示することで権利侵害を未然に防ぐため、各法には以下のように規定されています。

 

特許法第187条(特許表示)

特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、物の特許発明におけるその物若しくは物を生産する方法の特許発明におけるその方法により生産した物(以下「特許に係る物」という。)又はその物の包装にその物又は方法の発明が特許に係る旨の表示(以下「特許表示」という。)を附するように努めなければならない。

 

他の法律も同様に、実用新案法第51条(実用新案登録表示)、意匠法第64条(意匠登録表示)、商標法第73条(商標登録表示)の規定があります。

 

(注1)上記特許表示の規定の末文は、「附さなければならない。」ではなく「附するように努めなければならない。」とあり、義務ではなく訓示規定になっていますので、特許表示等をしないからといって罰せられる訳ではありません。しかし、他人の模倣を未然に防ぐことができ、顧客に対しては特許製品であることを示すことができますので、積極的に表示をしましょう!

 

 

2.施行規則上の表示方法

 

上記特許表示の規定に「経済産業省令で定めるところにより」とありますように、具体的な表示方法は、以下のように経済産業省令に規定されています。

 

特許法施行規則第68条(特許表示)

特許法第187条の特許表示は、物の特許発明にあっては「特許」の文字およびその特許番号とし、物を生産する方法の特許発明にあっては「方法特許」の文字およびその特許番号とする。

 

実用新案法施行規則第20条(実用新案登録表示)

実用新案法第51条の実用新案登録表示は、「登録新案」の文字およびその登録番号とする。

 

意匠法施行規則第17条(意匠登録表示)

意匠法第64条の意匠登録表示は、「登録意匠」の文字及びその登録番号とする。

 

商標法施行規則第17条(商標登録表示)

商標法第73条の商標登録表示は、「登録商標」の文字及びその登録番号又は国際登録の番号とする。

 

上記施行規則によりますと、具体的な表示方法は、物の発明の場合は「特許第○○○○号」、生産方法の発明の場合は「方法特許第○○○○号」、実用新案の場合は「登録新案第○○○○号」、意匠の場合は「登録意匠第○○○○号」を特許又は登録に係る物かその包装に表示し、商標の場合は「登録商標第○○○○号」を商標の近くに小さく表示します。

 

(注2)登録番号を示すときの「意匠登録第〇〇〇〇号」、「商標登録第〇〇〇〇号」とは「登録」の位置が違いますので、注意してください。

 

 

3.商慣習上の表示方法

 

上記施行規則上の表示方法の他に、デザイン的観点から次のような表示方法も用いられています。

 

特許は「PAT.」、「PAT.○○○○」、「特許登録済」、意匠は「意匠登録済」、商標は「商標登録済」、Registered Trademark(登録商標)の意味のを円で囲んでそれを登録商標の右上又は右下に付したものも用いられています。これらの表示でも十分目的を達成できますので、積極的に表示をしましょう!

 

出願中は、特許でしたら「特許出願中」、商標でしたら「商標登録出願中」や商標の右上又は右下にTMを付したものが用いられています。TMはTrademarkの略語であって、単に「商標」を意味するに過ぎませんので、出願中でなくても付することができます。

 

(注3)特許出願していないものや拒絶査定が確定したものについて「特許出願中」を表示することは、虚偽表示に該当する可能性がありますので、避けた方がいいでしょう。また、特許権が消滅した後は特許表示は止めなければいけません。

 

 

4.虚偽表示の禁止

 

特許に係る物以外の物に、特許表示やこれと紛らわしい表示を付したり、登録商標でない商標に、商標登録表示やこれと紛らわしい表示を付す行為は禁止されることが以下のように規定されています。例えば、出願中に「PAT.」やRを円で囲んだ表示を行うことは虚偽表示になります。

 

特許法第188条(虚偽表示の禁止)

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 特許に係る物以外の物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為

二 特許に係る物以外の物であって、その物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡等又は譲渡等のための展示をする行為

三 特許に係る物以外の物の生産若しくは使用をさせるため、又は譲渡等をするため、広告にその物の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為

四 方法の特許発明におけるその方法以外の方法を使用させるため、又は譲渡し若しくは貸し渡すため、広告にその方法の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為

 

他の法律も同様に、実用新案法第52条(虚偽表示の禁止)、意匠法第65条(虚偽表示の禁止)、商標法第74条(虚偽表示の禁止)の規定があります。

 

 

5.虚偽表示違反に対する罰則

 

虚偽表示の規定に違反しますと、特許と商標は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」(特許法第198条、商標法第80条)、実用新案と意匠は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(実用新案法第58条、意匠法第71条)が処せられます。

 

また、従業者が会社の業務に関して虚偽表示の規定に違反した場合には、行為者を罰する他、その法人に対しても特許と商標は「1億円以下の罰金刑」(特許法第201条、商標法第82条)、実用新案と意匠は「3000万円以下の罰金刑」(実用新案法第61条、意匠法第74条)が科せられます。

 

 

6.外国の場合

(1)米国の場合

米国特許法第287条(a)では、特許物品に「patent」又は「pat.」を特許番号と共に付することとされており、特許表示を行っていない場合は、侵害訴訟で損害賠償を受けることができないことがあります。

 

また、米国商標法第29条では、「・・・の文言又はを円で囲んだ文字を標章に表示することによって自己の標章が登録されている旨の告知をすることができる。」とされています。

 

(2)中国の場合

中国商標法実施条例第37条では、「登録商標を使用する場合、商品、商品の包装、使用説明書、又はその他の付随するものに「登録商標」又は登録マークを表記することができる。登録マークは(注の外を○で囲んだもの)と(の外を○で囲んだもの)を含む。登録マークは商標の右上又は右下に表記する。」とされています。

 

(注4)米国で特許されていないのに「PAT.」を表示した商品を米国に輸出すると、虚偽表示になります。また、を円で囲んだものを商標に付して表示した商品を外国(例えば、米国や中国)に輸出すると、その外国で商標登録されていないと、虚偽表示になりますので、注意してください。

 

 

 

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