カラージャーナリスト/色の取扱説明書(79)/色が正確に判断できない環境や照明の光 | カラーの本音、カラーの本当、色彩男組

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カラージャーナリスト/色の取扱説明書(79)

パーソナルカラー診断の色が正しく見える場所とそうでない場所の選択詳細解説

 

前回のこのカラー専門のブログで、

店舗やイベント会場によっては、正確に色を判断できない場所が多いので、
まず、「色が正しく見える」カラー診断と、そうではないカラー診断があることをぜひ知っていただき、
パーソナルカラー診断は慎重にカラーリストやカラーサロンを選んでくださるようお伝えしました。


今日は前回の内容をもう少し詳しく追加して解説します。

 



画像は色温度が適切でない事例/多くが黄みが強いのがアパレルショップやカフェやエステサロン、ヘアサロン。
デパートのコスメコーナーや一般的な売り場も、色温度がニュートラルなわけではなく、この系の光なら注意が必要です。
また、多くの店舗が、これにハロゲンのダウンライトやスポットライト的照明が混在。
もはや、店舗での色の判断は無理であることがわかります。

 

そうなると、店舗内でのインストアでのカラー診断や簡易診断、カラー診断イベントは、多くがNGというより、カラー診断が成立しない光環境ということです(窓がない場所なら期待値ゼロ)。

 



一方、相対的に青みが強いのは一般的な教室や会議室です。
多くの教室や会議室、天井直付けの施設照明は、天井が高い場所であると、照度不足が色の判断には致命的です。

前者が3000〜4000k、後者が6500〜7000k以上の色温度で色彩の判定には全く不適切です。
もし、目や脳が順応しても、不適切な色温度に順応しては色は判断できません。

 

 


こちらは、イルドクルールと同等の色の判定に適した状況(物体色や反射色の判定に適切な色温度)の記録です。
つまり、背景の壁の素材やフロアの石材の色、コーラのパッケージはこの色が本来の色であり光は適正です。

イルドクルールは常に「色は光」であるとお伝えしています。
光が無ければ色は存在しません。
目の前に見える色は100%光源の光のクオリティに依存します。
そのような理由から、イルドクルールのカラーサービスには、世界最高水準の「色が正しく見える光」演色性/Ra99AAAの非LED色評価用照明を100%設備して環境を整え、最適な色温度と照度、および照射角度と範囲を管理して使用提供しています。



画像は劇場の幕間、つまり、波長の長い赤い照明下では物体は赤く見えてしまい、色順応しても本来あるべき光に順応していないので正しく色を判定できません。

 

さらに、せっかくなので演色性のお話にも触れておきます。

 

イルドクルールがパーソナルカラー診断やカラーサービスにLED照明をまだ採用しない理由は、演色性の性能/スペックと安定性、加えてLEDの強烈な光の人体/視覚と目に対する安全性、2つが完全にクリアできていないからです。

 

まず、演色性についてですが、

 

光の演色性とは、その光がどの程度物体を本来の色に見せてくれるかの数値評価です。

理想値はRa=100ですが、イルドクルールでこれまで自然光を計測して、実はまだRa=100を計測できたことはありません。

まだ100点満点の光をイルドクルールでも体験できていないことになります。

 

ただし、イルドクルールが設備する非LED色評価用照明はRa=99AAA。

いつでもだれでも同じ最高クオリティの環境の光を提供でいていて、サービスの質の向上に大いに貢献しています。

 

一見同じに見えてしまう太陽この白色光とLEDの擬似白色光を比較しています。

(画像小さっ!という方は、画像をクリックすると大きくなって文章が読めます)

 

多くのLEDの擬似白色は、青色LEDに補色のフィルターを合わせて合成。

そうすることで、人の目には白色に見えますが、色光の成分が本当は大事。

夜間に車を運転していて対向車の白色 LEDのヘッドライトがまぶしかったり目が疲れたり、

オフイスや店舗で過酷な強烈なLED照明で目が疲れたり、

その理由は、多くのLED照明の、目に負担が大きいパワーが強い短波長成分による擬似白色であるからです。

 

また、ピアノの鍵盤でいうと、不規則に偏った鍵盤での発生した和音は美しくなく豊かでもありません。

理想の太陽光は、オクターブの音/鍵盤、全部入りと考えてください、きっと豊かで美しい和音でしょう。

(音と光の波長/電磁波は物理的に波長は考え方は同じ、光の成分をピアノ鍵盤を青くマーキングして説明しています)

 

実はイルドクルールのレッスンで、生徒さんが大幅にキャパを超えたため、急遽最寄りの貸し会議室でレッスンを行ったことがあります。

 

当然、演色性Ra99AAAのイルドクルールと照明が異なるので危惧はしていましたが、

予想通り、実際の当日のメイクレッスンはあまり充実しませんでした。

施設の天井からの照明が一般的なLEDで、普段通りのコスメを使ったメイクレッスンの肝心の「色」が、良くなかったのです。

 

一言で言うと、見慣れない妙な色で、メイクの仕上がりも中途半端になり全員不完全燃焼となり、後日やり直しとなりました。

 

こちらは、演色性Ra99AAAの光を天井からと、コンサル用に直接照射する100%Ra99AAAのイルドクルールのカラーサロン。

光源のミックスは行なっていないので、光のクオリティが最高レベルで揃っています。

 

↓その時の記録がこちら↓

 

せかっくのモデルさんの顔色も悪く、とても血色がすぐれません。

「こんなはずじゃ、…」と、ドン引きです。

そこで、画像編集ソフトを使い、カラーターゲット(指標)をもとに、

本来の色に近づけたのが2枚目のモデルさんの画像です。

 


 

モデルさんはパーソナルカラーはスプリング。

肖像権もあり、お顔の半分は編集していますが、スプリングの方のお肌の色、口や歯、もちろん髪色もご本人そのまま。

背景の紫が全く別の色になっていることも、演色性が低いと被る大きなデメリットです。

 

 

「明るいから大丈夫」と明らかな誤解の元に使われてしまうLED照明。

各地で、明らかにおかしいカラー診断結果の話を耳にしますが、照明が悪いのではなく、照明の選択が悪かったり誤っていることが大いに影響している気がします。

 

簡易な動画やスチール撮影のために作られた汎用のLEDリングライト。

安価で軽量で持ち運びも可能。

ただ、演色性はさほど重視されていないものが主流で、パーソナルカラー診断には使える製品ではないのと、最初から用途がちがう照明なので、パーソナルカラー診断には「明らかな誤用/誤った使い方」です。

 

この光で色の判定や決定を行う色彩関係の専門家はいません、製品が良い悪いの問題以前に、モチーフやモデルさんの色を忠実に記録したり再現するための照明ではないということです。

 

特に撮影用リング型LEDは、演色性は最初から考慮されていなかったり制御できていない製品が多く、まちがってもパーソナルカラー診断には使っては不適切な照明がほとんどです。

安価だから、持ち運べるからと、カラーリストが行う側の都合だけで、クオリティの低い光を誤って使うことは、大事なお客様にあまりにも失礼な話かもしれません。

 

さて、蛇足とは思いながら、演色性の解説をもう少し。

 

人は「食」と色には敏感です。

画像は、オフイスのエリアのご飯屋さんのオムライス。

ちょうど、店舗照明をLEDに交換した時の記録です。

 

 

残念ながら汎用のLED照明は最新といえど、演色性は高くはなく、Ra70~80弱。

天井直付けで照度も低いので、せっかくの美味しそうな卵料理が照度不足でこの色です。

 

こちらも指標を元に編集ソフトで本来の色に近づけているのが2枚目。

こちらは、アバウトですが、演色性Ra90以上のイメージ、色温度も適正値の再現とご理解ください。

皆様の記憶にある卵料理の色はどちらでしょう?

 

実はこのようなことがカラー診断で起きていると言うことは深刻です。

 

 

次にLED照明の安全性について。

 

画像は実際にあった、家電量販店の警告ポップ。

良心的な業者さんで、LED照明を直視しないように警告しています。

 

私たちイルドクルールは、カラー診断を受ける方々は暫時でも、もしカラーリストが常用して長い時間、目にLEDの光を至近距離から長時間入れているのなら、かなり危険なことではないかと危惧しています。

強烈に直進する青色ダイオードが主成分の擬似白色光のLEDは、毎日何時間もこれを常用するなら、網膜や色覚、視覚に影響が出る危険性があると識者も警鐘を鳴らしています。

 

私たちは実際にLEDのチップを作っている海外のメーカーエンジニアからその危険性を指導を受けましたが、それはごく当たり前の常識だそうです。

 

至近距離からLEDの光を見ては危険=つまり見てはいけないのです。

 

よくある、リング型の撮影用LEDは、安価で軽量なため、誤って撮影用と知ってか知らずか、カラー診断に用いるカラーリストが増えていると報告が入ります。

中には推奨してるカラーの協会や団体、学校もあると聞きますが、推奨する根拠を説明する責任があると考えます。

このリングライトは、メーカーも色評価や色の判定に使う用途は想定外で、明るく照らすことが第一、また、モデルさんにハイライトやキャッチライトを入れることが主な目的の製品です。まちがっても(ほとんどのリングライトが)パーソナルカラー診断に使えるスペックではありません。

 

では、長くなりそうですので、LED照明の今ココ的な解説を次回以降にお伝えしましょう。