就職活動もあれこれあったが、九州地区の企業に就職することにして、
シンジの気持ちも落ち着いた。
高校3年の二学期も中盤になると、クラスの雰囲気が変わって来た。
みんな進学に向けて、追い込みをかけたり、追い込まれていたりする感じだった。
ちなみに、クラス48人(だったと思う)中、就職はシンジともう一人の2名だけだった。
下校時に、何度も可愛い待ち伏せをしてくれた同じクラスの女子生徒も、
シンジの無愛想に諦めたのか、それとも、受験勉強で、そんな余裕も無くなったのか、
いつのまにか待ち伏せされることも無くなった。
彼女は自転車通学だったので、唐津市内の人だったのだろう。
(卒業アルバムで、たまに尊顔を拝している)
シンジは、図書部にも足を運ばなくなり、することも無くなったので、
厳木中学校の時の友人のつてで、下校経路にある教会に顔を出すようになった。
牧師さんだったか、神父さんだったかもう忘れてしまったが、
家に帰る唐津からの汽車の時間まで、教会で時間を潰して帰るのが日課になった。
ただ、本当に宗教に興味があるわけではなく、
許して欲しいと思っているが、知らない世界を覗いて見たかったのだった。