双角子宮なので妊娠しにくいと言われたことがあります。体外受精は関係はないのでしょうか。オンライン | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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双角子宮なので妊娠しにくいと言われたことがあります。体外受精は関係はないのでしょうか。

オンラインセミナーでの質問です。

 

ご質問ありがとうございます。双角子宮と妊娠率の関係についてですが、エビデンスを踏まえて整理します。

双角子宮と妊娠転帰の関係については複数の系統的レビューが行われています。Chanらによる大規模レビュー(Chan YY et al., *Hum Reprod Update* 2011)では、双角子宮を含む子宮奇形は自然妊娠において流産や早産のリスクが上昇することが報告され、特に流産歴を持つ群では子宮奇形の頻度が有意に高いことが示されています。一方で体外受精に関しては、Grimbizisらによるレビュー(Grimbizis GF et al., *Hum Reprod Update* 2001)や後続の解析で、受精や胚の発育自体に双角子宮が直接的な悪影響を及ぼす証拠は乏しく、ARTにおける移植胚あたりの妊娠率も正常子宮と有意差を認めないと報告されています。つまり双角子宮は「妊娠成立後のリスク」、すなわち流産・早産・胎位異常といった妊娠維持や分娩に関連する合併症を増加させる因子であり、ARTにおける受精や胚発育には直接の影響は少ないと考えられます。そのため、不妊治療を受ける際には子宮形態によるART成績の不利を過度に心配する必要はなく、むしろ妊娠成立後の周産期管理を丁寧に行うことが重要だとエビデンスは示しています。