胚の凍結を行うタイミングが出生時体重過大児のリスクに影響を与える | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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体外で培養することが子供に何らかの影響を与えているとの報告が以前から多数あります。

今回長く培養すればするほど大きい子供が生まれてくるとの報告がありましたので以下紹介します。

今月号の論文からです。

 

2014年から2019年までの期間における、受精後2〜7日間の凍結胚移植を受けた女性における、出生時体重過大(LGA)児のリスクとの関連を調査した後ろ向きコホート研究です。

 

研究群の18.2%にあたる33,030件のFETサイクルがLGA児を出産しました。

凍結日が2日目の場合のLGAリスクは13.7%であったのに対し、3〜7日目で凍結した場合のリスクはそれぞれ14.4%、15.0%、18.2%、18.5%、18.9%と増加しました。

特に、5〜7日目で凍結した場合、補正相対リスク(aRR)は1.32から1.42まで増加しました。

その他、多産(3名以上産んでいる)や、正常体重と比較してBMIが35 kg/m²以上の場合など肥満もLGAリスクと関連がありました。

また、アジア人、黒人、ヒスパニック、ハワイ・太平洋諸島系の人々は、白人に比べてリスクが低い要因とされました。

この研究は、FETとLGA児との間の関連について新たな検討すべき事があると指摘しています。

 

凍結胚移植を受けた女性において、胚の凍結を行う日にちが出生時体重過大児のリスクに影響を与える可能性があると示唆しています。

具体的には5日目以降に胚を凍結すると、LGA児のリスクが高まることが明らかになりました。

また母体の肥満度や多産もLGAのリスクと関連しており、これらの要因を考慮に入れた上でのリスク評価が重要であると結論付けています。

 

Fertility and Sterility® Vol. 121, No. 5, May 2024

Association of duration of embryo culture with risk of large for gestational age delivery in cryopreserved embryo transfer cycles