妊娠は希望しませんが胚の破棄はできないです | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

かなりの高齢になり妊娠は諦めています。ただ凍結胚をこのまま破棄する事はどうしても出来ません。何か別の方法が無いかと悩んでいます。移植をして自分で納得して終わりたいと思います。その様なことは可能でしょうか?何かアドバイスをお願い致します。

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

これはとても難しい問題であると思います。外来で話していると希望される方がいて同じ悩みを持つ方は少なくないと思います。

以前報告された論文で以下の様な報告があります。

 

 

この論文では、希望する子供の数が生まれて余剰胚のある場合、敢えて妊娠しない時期に移植する事で、他所に捨てたことにはならず、多少胚に対しての言い訳、満足感を生む事が出来ることになる、この様な移植がアメリカで約5パーセントは行われているとの報告です。

異論があることだと思いますが、宗教的な問題も絡みこの様な興味深い対応がある事を述べています。

 

特にSNSなどを通して広まりつつあり、余剰胚の破棄に変わる方法として取り上げられています。

 

Compassionate transfer’: an alternative option for surplus embryo disposition

Human Reproduction, Volume 34, Issue 5, May 2019, Pages 791–794