コロナ感染症に対してワクチンを打つことがその後の体外受精の治療にどの様に影響している論文が今月号の雑誌に出ていたので紹介します。
この研究の趣旨は体外受精を受けた患者の出生率にCOVID-19ワクチン接種がどのように影響するかを調査することです。
2020年1月1日から2021年12月31日までに、新鮮または凍結胚移植を受けた患者が対象となりました。COVID-19ワクチン接種は、体外受精の治療開始前に2回接種(ファイザーまたはモデルナ)または1回接種(ジョンソン&ジョンソン/ヤンセン)を完了することとしました。
結果
新鮮胚移植においては、ワクチン接種者と未接種者の間に統計学的に有意な差は認められませんでしたが、凍結胚移植において、ワクチン接種者は未接種者に比べて、hCG陽性(補正オッズ比1.54)、臨床妊娠(補正オッズ比1.80)、および生存出生(補正オッズ比2.31)とそれぞれの率が高くなりました。
結論
凍結胚移植前にCOVID-19ワクチンを接種した患者は、生化学的妊娠、臨床妊娠、および出生率が高いことを示しています。新鮮胚移植後の妊娠や出生率とワクチン接種との間には関連がありませんでした。
この論文の言いたいこと
体外受精を行う際、COVID-19ワクチン接種が出生率に肯定的な影響を与える可能性があることを示しています。特に、凍結胚移植を受ける前にワクチン接種を完了した患者は、未接種の患者に比べて、生化学的妊娠、臨床妊娠率、出生率が高いという結果が出ました。
一方で、新鮮胚移植においては、ワクチン接種の有無が妊娠や出生率に有意な差をもたらさないことが分かりました。
つまり、妊娠を試みる際にCOVID-19ワクチンを接種することは、特に凍結胚移植を行う場合において有益な可能性があると言えます。
Fertility and Sterility® Vol. 121, No. 3, March 2024
Impact of coronavirus disease 2019 vaccination on live birth rates after in vitro fertilization