オメガ3脂肪酸を妊娠中に摂取すると母児共に効果が絶大 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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妊娠中にオメガ3脂肪酸を摂取すると周産期の成績にどの様な影響を与えるか気になるところです。このレビューでは詳細を提示しており大変参考になるため紹介します。

 

レビューの背景:妊娠中にオメガ3脂肪酸を含む食品、特に魚を多く摂取することは、妊娠期間の延長や周産期の成績の改善と関連しています。

 

レビューの目的:妊娠中にオメガ3脂肪酸(サプリメントまたは食事に追加して)を摂取することが、母親、周産期、新生児の予後、母子の長期的な予後にどのような影響を与えるかを調べることです。

 

レビューされた論文の選択基準:オメガ3脂肪酸(サプリメントまたは食品)を妊娠中に使用し、プラセボまたはオメガ3を含まないものと比較したランダム化比較試験をメインとしています。

 

結果:オメガ3脂肪酸(サプリメントおよび食品)をプラセボまたはオメガ3を含まないものと比較した70のRCT(19,927人の女性を対象)を含めています。

 

①37週未満の早産の減少(13.4%対11.9%;リスク比(RR)0.89、95%CI 0.81から0.97)

②34週未満の早産の減少(4.6%対2.7%;RR 0.58、95%CI 0.44から0.77)

③周産期死亡のリスクが減少(RR 0.75, 95% CI 0.54から1.03)

④新生児が入院するリスクも減少傾向(RR 0.92, 95% CI 0.83から1.03)

⑤低出生体重の赤ちゃんのリスクが減少(15.6%対14%;RR 0.90、95%CI 0.82から0.99)

 

結論:37週未満の早産および34週未満の早産は、オメガ3脂肪酸を摂取した女性で減少しました。周産期死亡および新生児が入院するリスクも減少し、低出生で生まれるリスクも減少しました。

この論文の言いたいこと

このレビューの結論は、妊娠中にオメガ3脂肪酸を摂取することが、早産(特に37週未満および34週未満の早産)のリスクを減少させる効果があることを示しています。またオメガ3脂肪酸の摂取で周産期死亡と新生児が入院するリスクを減少させ、低出生体重が生まれるリスクを減少させます。

子供が育ち成人への長期的な影響についてはまだわからない部分があり今後の更なる長期的な検討が必要であるものの、妊娠中のオメガ3脂肪酸の摂取は成績を上げるために有効と言えるのだと思われます。今後も引き続き良好なRCTを行うことが好ましいと言えます。

 

Cochrane Database Syst Rev. 2018 Nov 15;11(11):CD003402.

Omega-3 fatty acid addition during pregnancy