女性のオメガ3脂肪酸(DHAとEPA)の摂取が多いほど出産率が高く流産のリスクが低くなる  | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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オメガ3脂肪酸を摂取すると妊娠に良いという情報は以前からかなり出ていますが大規模なRCTはあまりなく詳細は不明な点が多いです。

 

本研究は女性と男性がオメガ3脂肪酸およびオメガ3が豊富な食品を摂取することが精子の質や不妊治療の結果にどのような関連があるかを調べています。

2007年〜2020年までにマサチューセッツ総合病院に来院したカップルを対象に前向きコホート研究で実施されました。

参加者の食事は131項目の食品摂取質問アンケート用紙を使用して調べられました。

主な結果は、着床、臨床的妊娠、および出産率でした。男性の精子の質も調査されました。

 

229組の夫婦に410回のARTが行われ、女性のオメガ3脂肪酸(DHA+EPA)の摂取は出産率と正の関連があることが示されました。

DHA+EPAの摂取量が最も少ない四分位の女性と最も多い四分位の女性の補正出産率はそれぞれ0.36(95%信頼区間, 0.26-0.48)と0.54(95%信頼区間, 0.42-0.66)であり、相関が認められました(P傾向=.02)。

流産のリスクは、DHA+EPAの摂取量が最も少ない四分位の女性で0.53、最も多い四分位の女性で0.05と負の相関がありました(P傾向=.01)。

なお男性の総オメガ3脂肪酸の摂取は、精子の数、濃度、および運動能に正の相関があることが示されましたが、ARTの結果には関連がありませんでした。

これらの脂肪酸の主要な食品の摂取を調べた場合も同様の関連が認められました。

 

結論

女性のオメガ3脂肪酸およびオメガ3が豊富な食品の消費は、流産のリスクを減少させることによって、出産率を上昇する可能性があります。

また、男性のオメガ3脂肪酸の摂取は精子の質に影響を与える可能性があります。

論文から言えること

女性がオメガ3脂肪酸(DHAとEPA)の摂取が多いほど、出産率が高く、流産のリスクが低くなることが示されました。つまりオメガ3脂肪酸とそれを豊富に含む食品が不妊治療を受けるカップルにポジティブな影響を与える可能性があることを示唆しています。

 

The American Journal of Obstetrics and Gynecology 

2022 August ; 227(2): 246.e1–246.e11. doi:10.1016/j.ajog.2022.03.053.