卵子凍結をするか、受精卵凍結をするか迷います | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

現在事実婚です。東京都に住んでいます。卵子凍結をするか受精卵凍結をするか迷っています。仕事で今すぐの妊娠は考えていません。ただ来年の夏には移植したいと考えています。年齢も40歳直前となり迷います。

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

事実婚の場合受精卵を作り保険で体外受精が出来るので直ぐに移植をする事ができるのであれば一番良いのは保険を使い採卵をして受精卵を作り移植を行う事です。

 

ただ今回の相談の様に直ぐに移植ができない場合保険は使う事ができなくなります。

保険のルールでは受精卵を作成したら速やかに移植をすることが義務付けられています。国としては移植をして出生率を上げたいためこの様なルールを作成している事は理解はできます。

 

ここで取れる方法としては以下の二つがあります。

一つは自費で受精卵を作成する事です。この方法は保険を使用しないので凍結胚を作成して移植を先延ばしすることが可能です。デメリットは費用が高くなる事です。ただ1年半後に採卵するよりは今採卵しておくほうが妊娠という観点では物凄くメリットがあります。

 

もう一つは卵子凍結をする事です。39歳であれば3月末までの採卵で30万の助成金がもらえることはかなりの経済的に負担を軽減できます。また都としてもこの様な事実婚で仕事のため妊娠を先延ばしするケースに対しても助成金を出すと明言しています。またこのメリットは1年半後に使用する場合に恐らく保険が通ると予測されているため受精から移植までは負担が減ると考えられます。(現時点では凍結卵子を使用しての治療は自費になりますが、数ヶ月後の保険の改訂で恐らく認められると予測しています)。

 

この辺りはとても難しい判断となるため担当医に相談してメリットデメリットを確認して決める事が良いかと思います。