AMHが高いと卵子の質が低下する不安があります。また逆にAMHが低いと採卵数が減り結果として良い成績が得られない不安もあります。
アメリカでは卵子提供は通常治療として行われており提供を受ける場合ここはかなり重視される箇所であり多くの方が知りたい点です。
今月号に掲載された論文では最適なAMHはどのくらいが好ましいかを調べています。
この研究では、AMHが高いレベルの卵子提供者と、得られた卵子を使用して体外受精を行う受精卵のその後成績について、アメリカの35ヶ所の体外受精センターから提供された凍結卵子を用いて、2013年から2021年までの3,871の卵子提供者治療サイクルを分析することにより検討されました。
AMHに基づき、高いAMH群(AMH≧5 ng/mL; 1,821サイクル)と基準群(AMH<5 ng/mL; 2,050サイクル)に分けられました。
結果:高いAMH群では利用可能な胚の数が基準群に比べて有意に多かったものの(中央値[四分位範囲] 2 [2–4] 対 2 [1–3])、継続妊娠率には両群間で差はありませんでした(高AMH群45.4%対基準群43.5%)。
また、PGT-Aを行った場合、胚の正常染色体数率も両群で同様であり、PGT-Aを用いた正常染色体胚の移植後の継続妊娠率も両群で同等でした(高AMH群52%対基準群54.1%)。
この結果から、卵子提供者の高AMHレベル(≧5 ng/mL)が受け手の最初のET後の継続妊娠率と関連がないことが示されました。
これにより、高いAMHレベルを持つ卵子提供者からの治療はAMHレベルが5 ng/mL未満の提供者と少なくとも同等であることがわかります。
この結果から言えること
卵子提供者のAMHが高い場合でも、継続妊娠率や胚の質(特に正常染色体数)に影響を与えないということです。
高いAMHレベルを持つ提供者から得られた卵子は、より多くの利用可能な胚を生み出すことができるかもしれませんが、最終的な妊娠の成否には差がないという結果が得られました。
これにより、卵子提供を受ける際に提供者のAMHレベルが高いことを懸念する必要はなく、高いAMHレベルの提供者からの卵子も良好な結果を期待できると結論付けられています。
Fertility and Sterility® Vol. 121, No. 2, February 2024
Optimal antimullerian hormone levels in oocyte donors: a national database analysis