ナッツを食べると精子の所見が改善されるという論文です。オーストラリア・モナシュ大学からの報告です。
ナッツには、オメガ3多価不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどが多く含まれており、これらを定期的に摂取することで生殖機能を改善することが考えられています。
今回のシステマティックレビューとメタ解析は、ナッツの摂取と男性、女性の生殖機能との関連についての最新の根拠を提示しています。
MEDLINE、Embase、CINAHL、およびScopusから2023年6月30日までの文献を検索しています。対象は生殖年齢（18〜49歳）とした。
ナッツの摂取（少なくとも3か月間）が生殖に関連する結果に及ぼす効果を評価しています。
健康な男性におけるナッツ摂取の精子総運動能、生存率、形態、濃度に対するランダム効果メタ分析が行われました。
ここでのナッツはくるみ、アーモンド、ヘーゼルナッツを意味しています。
875人の参加者（646人の男性、229人の女性）を含む4つの研究がこのレビューに含まれました。
223人の健康な男性を対象とした2つのRCTのメタ解析では、1日あたり60g以上のナッツ摂取によりコントロール群と比較して精子の運動能、生存率、形態を向上させましたが、精子濃度には影響を与えませんでした。
非ランダム化研究では、男性の精子の従来のパラメータと、ARTを受ける男性と女性の胚着床、臨床妊娠、生児出産率との関連は報告されませんでした。
このしたの図はナッツによる生殖への影響を示しています。
この論文の結論
健康な男性において、少なくとも1日に2回ナッツを摂取することが精子の運動能、生存率、形態の向上に貢献し、これらは男性の生殖能力を予測する重要な指標であることが示されました。
ナッツは栄養価が高く、生殖能力を高め促進する潜在的な可能性があると考えられます。
一方で、ARTを受ける男性や女性においては、ナッツの摂取と妊娠率との関連はまだ不明です。
ナッツの摂取は健康な男性にとって精子の質を向上させる一つの戦略として推奨されます。
Advances in Nutrition 15 (2024) 100153
Nut Consumption and Fertility: a Systematic Review and Meta-Analysis