帝王切開瘢痕部妊娠は要注意 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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帝王切開がかなり増加しておりそれに伴い帝王切開瘢痕部に着床する新たな異所性妊娠が問題になっています。

今までは子宮外妊娠といえば卵管でした。ただ近年世界中で帝王切開率が高まり、第二子に向けて治療を行う際に帝王切開の部位に着床し診断が遅れると重大な合併症を起こすと述べられています。

診断や対策などまだこれというものがなく先月号のこの論文でもいろいろ議論されています。

一早い診断が必要で遅れると子宮破裂、大出血、命の危険にもつながるため、まずは多くの産婦人科医師がこの疾患を知り、早期発見に努め、早期の治療をすることで重症化が防げるのではと述べています。

https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/uog.21952

 

帝王切開瘢痕症候群というのは着床障害としてかなり前から問題視されていいます。これは瘢痕部に血液が貯留して胚の着床を妨げるという疾患でありオペで治療可能とされています。

今回問題となっているのはそこの瘢痕部に着床してしまう疾患です。

帝王切開にはこの様に様々な問題が起こります。この様な病態があることを理解して診療にあたることが大切なのだと思われます。

Fertility and Sterility® Vol. 120, No. 3, PT. 2, September 2023 

Cesarean scar ectopic pregnancy: nuances in diagnosis and treatment