二人目で苦戦 どうしたら | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

一人目は一度で授かりました。二人目で4回移植しても妊娠反応が出ません。着床障害を疑い子宮鏡検査は問題ありませんでした。内膜炎も治療しました。なぜか着床しません。何か方法はあるのでしょうか?

 

このようなご質問がありましたのでお答えします。

 

ご質問のように一人目は一度で妊娠したのに、二人目で苦戦する方がいることは事実です。

二人目不妊の場合まず最初に考えなければいけないこととして出産をしたことによる異常がないかです。

例えば出産の後に子宮内にポリープ や癒着 が出来る可能性があります。

そのため、移植に際して子宮鏡検査 をして着床障害になるような原因がないかを確認しておくことが必要です。

 

特に帝王切開の後の不妊の場合 には注意が必要です。

この帝王切開後の不妊は最近学会でも良く取り上げられています。場合によっては切開した場所をオペして治すことも必要になります。

 

また、一人目と一番の大きな違いは年齢が上がっていることです。「数年しか経っていないから」という方もいますが、数歳の違いでも卵子は確実に老化して妊娠率にすると大きな減少になります。39歳と42歳では確率が半減します。気持ちの上では変わらないかもしれませんがこの辺りは差を認めながら冷静に治療に向き合う必要があります。

高齢になると凍結融解操作が卵子には影響を与える事もあるため卵子への負担を減らすために新鮮胚で移植する事も有効になります。

 

また出産により子宮内に感染が起きて慢性子宮内膜炎を起こす事もあります。

CD138の検査をして感染がある場合には抗生剤の投与にて治るケースが多くあります。

最近当院でよく行うことはMVAキットでの内膜吸引です。この方法は保険も通り保険診療の方にも行えて効果も抜群です。内膜炎の診断と治療には時間がかかりますがこの方法だと即治ります

 

過去にクラミジア感染にかかっている場合には改めて腹腔鏡検査をして腹腔内の異常を治すことも効果的なケースも多数あります。なおこの反復不成功に対して腹腔鏡検査がとても有効であることは今度の生殖医学会で発表してきます。

 

また男性の年齢の上昇による精子の質の低下もあります。精子も数年でかなり老化します。男性の睾丸のエコー検査やホルモン検査をしてライフスタイルの改善やサプリメントの内服もとても効果的になります。若い頃と違い徹底してストイックな生活が求められます。高齢な卵子に対してご主人の強固な精子が必要です。当院では毎週土曜日午後に男性外来をしていますが大学から優秀な専門医が来ており保険も通りとてもお勧めです。

 

この辺りを考えながら冷静にかつ自信を持ち治療を勧めることをお勧めします。

 

最後にここが極めて大切ですが二人目の方のパワーはとても大きなものがあります。

一人産めるということは二人目も産める可能性が非常に高いです。

そしてお子さんがいることで精神的に物凄く安定しています。

全てが完璧でないと子供は産めなくそれができているので自信を持ってください。ここはとても大切です。一度金メダルを取っているためぜひ連覇をして下さい。