子宮筋腫がある場合(子宮内腔に突出していなくても)オペをしないと出産率は低下する:今月号の論文 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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子宮筋腫があると妊娠率や出産率や流産率にどの様に影響するか不安に感じる方が多くいると思います。今月号の論文では内腔に出ていない筋層内の筋腫(6センチ未満)の方がどのような影響を与えるかを調べている大変参考なる論文がありましたので紹介します。

以下出産率の結果です。Aは6センチ以下の筋腫、Bは4センチ以下の筋腫、Cは2センチ以下の筋腫

6センチ以下の場合オッズ比0.48となり有意に確率が低下しています。

4センチの以下の筋腫でもオッズ比は0.57と減少してます。

ただ2センチ以下の場合には差は出ていません。

 

この下の表は流産率です。Aの6センチ以下の場合オッズは1.57でしたが有意差なしでした。

4センチ、2センチも同様に有意差なしです。

 

この下の表は妊娠率ですがAの6センチ以下の場合オッズ比0.64で有意差あり。

Bの4センチ以下もオッズ比0.64で有意差あり。ただCの2センチ以下はオッズ比0.66で有意差なし。

今まで子宮筋腫がある場合、子宮の内腔に出ていない場合においてはここまでの成績の低下が出るとは考えていませんでした。そのためここまで低下するというこの結果はとても驚きでした。

もちろん子宮内腔に突出する粘膜下筋腫はオペの適応ですが、今回の結果をもとに考えると、内腔に突出しないとしても4センチ以上の筋腫がある場合にはオペを積極的に考慮すべきと言えます。

Fertility and Sterility® Vol. 119, No. 6, June 2023 

The effect of <6 cm sized noncavity-distorting intramural fibroids on in vitro fertilization outcomes: a systematic review and meta-analysis