顕微授精をすると8割位の卵子は受精します。ただ残りの卵子は受精しません。この中で精子が卵子に注入されていないケースなどもありますが、それ以外でこの様な場合が続くと受精障害が疑われます。近年この受精障害が増えてきています。3%程度生じると言われています。
顕微授精をしても受精しない時に人為的な卵子の活性化という方法をとります。卵子の活性化のために主に以下の方法をとります。
カルシウムイオノフォア、電気刺激、ストロンチウム、イオノマイシン。一番多く取られている方法はカルシウムイオノフォアです。
これらは卵細胞内のカルシウムの濃度を上げてそれにより受精の可能性を高めます。
この方法が本当にエビデンスがあるかどうかを調べていました。
カルシウムイオノフォアによる活性化は効果的かを14個の論文をメタ解析した論文がありましたので紹介します。
妊娠率(移植当たり); オッズ比 3.48; 95% CI, 1.65–7.37
出産率オッズ比3.33; 95% CI, 1.50–7.39
オッズ比がとても高く明らかに有効であると示されています。
結論
ICSI後にカルシウムイオノフォアは、受精、分割、胚盤胞形成、着床率、妊娠率、出生率の統計的に有意な改善をもたらします。
このシステマティック レビューの結論は、カルシウム イオノフォアの使用の強力な効果を示しており、特に ICSI だけでは受精率が低いカップルにとって、心強いものであり、有望です。
Fertility and Sterility® Vol. 108, No. 3, September 2017
Does the use of calcium ionophore during artificial oocyte activation demonstrate an effect on pregnancy rate? A meta-analysis