凍結胚移植は自然周期で行う方が母児に対して安全:今月号の論文から | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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凍結胚移植は自然排卵を起こしてその5日後に移植する自然周期とホルモン補充周期で行うホルモンコントロール周期(こちらは排卵をさせない)の2つの方法があります。

どちらが妊娠率が好ましいかに関しては然程大差がないか自然周期が少し高くなります。

近年問題となっていることは母体や胎児や胎盤や妊娠中のトラブルなどどちらが多くなるかです。ここ数年の報告では自然周期の方が有意に良い結果になると報告されています。

今月号にでたこのメタ解析論文ではやはり自然周期の方が好ましいとしています。

長い論文のため以下要点だけを挙げるとホルモン補充周期だと妊娠高血圧症や子癇前症、分娩後出血、帝王切開率が自然周期よりも有意に高くなるとしています。

ただ論文の検討方法の差異もあり更なる前向きでの大希望な検討が必要ともしております。

いずれにしても可能な限り自然排卵を起こし黄体を作り出し黄体による様々なホルモン以外の分泌物による胎盤形成に対しての良好な影響を期待することが必要でそれによりより安全な妊娠期間、出産時のトラブルの軽減、そして児への影響を少なくすることが必要だと思います。

 

Human Reproduction, Vol.37, No.7, pp. 1619–1641, 2022

Obstetric and perinatal outcomes following programmed compared to natural frozen-thawed embryo transfer cycles: a systematic review and meta-analysis