現在胚培養の技術、PGSの技術、エンブリオスコープなど非常にARTは進歩しています。
ただこの20年間で胚移植に関しては余り大きな進歩はありません。
胚移植は妊娠率に大きく関わる最も大切な部分です。
どのようなカテーテルを用いるか、休養時間はどの程度必要か、どこに戻すか、エンブリオグリューは用いるべきか、などいくつもの検討箇所があります。
エコーを見ながら柔らかいカテーテルを用いて子宮の底部から1.5cmの場所に戻すこと、これが基本です。この際に先端がクリアに見えるシュアビューカテーテルを用いることポイントです。
特に胚移植の位置はとても大切です。
子宮のどこに移植すると一番良いか。
答えは子宮の中央に戻すことが正解であると思います。
ただ子宮の大きさ、傾き、角度、ねじれ、内腔の広さは個人差があり、特に子宮筋腫や子宮腺筋症などがある場合もあり、また尿のたまり具体、粘液の程度もあり本当に毎回異なります。
そんな中一度の移植で成功させなければいけなく、医師が一番力を発揮すべきところです。
今回論文でこれらに関して述べられているものがありましたので以下図を交えて紹介します。
この論文によるとできるだけ柔らかいカテーテルを用いて、以下のように子宮の中央へ移植すること推奨しています。
子宮の中央へ柔らかいカテーテルを挿入し(A)、適切な位置を見定め、そこから少しだけカテーテルを引き戻し(B)、シリンジの内筒を押して子宮の中央に胚を移植する。その際カテーテルを少しだけ引き下げる(C)、内筒を押したままカテーテルをゆっくりと抜去する(D)。
白い矢印:カテーテルの先端を示しています
黒い矢印:移植された胚がある位置を示しています
(胚は小さく見えないため小さな空気の泡が目印です)
Importance of embryo transfer technique in maximizing assisted reproductive outcomes
Fertil Steril. 2016 Apr;105(4):855-60.