顕微授精しか無いと言われ夫がとてもショックを受けています | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

本日夫が初めて精液検査を受けました。運動率、濃度共にとても悪く、医師からは自然妊娠は不可能のため顕微授精しか無いと言われました。夫がとてもショックを受けています。

何か改善策は有るのでしょうか?

また、今後はどの様にしたら良いでしょうか?

 

この様な質問がありましたのでお答えします。

 

まさか、自分に原因が有るとは思ってもいなかったと言う事でとてもショックを受けている事は容易に理解できます。そしてこの様に思われる男性はとても多くいます。男性として全てを否定された感じを抱き男として本当に辛いと思います。

 

しかし、実際不妊の原因の半数は男性のため、決して珍しい事ではなく本当に多くある事です。

 

今は辛いと思いますが、逆に早くわかって良かったと思う方が前向きになれて良いかと思います。

決して精子がゼロというわけでは無いですし、今は顕微授精と言う素晴らしい技術があるため、たとえ精子が少なくても妊娠する事は全く問題なく可能です。

 

ただいきなりステップアップは急すぎるため、少し間を空けてから体調を整え精液検査を再度受ける事をお勧めします。それでも同じ結果であれば、いたずらに時間を無駄にする事は意味がないため、あくまで二人で熟慮の上ですが、医師の言う通り顕微授精が良いかと思います。

 

もし奥様の年齢が若くて、2人の希望が自然の妊娠であれば、男性側の詳しい診察(睾丸の触診、エコー検査、ホルモン検査)をお勧めします。精索静脈瘤などオペで改善出来る事もあります。

 

ただ、精液所見を改善させる為にこれをすればよい、これを飲めば必ず良くなる、と言う事は中々無いのが現状です。色々なサプリメントや薬や注射を勧める先生もいますがエビデンスがどの位あるのか慎重に判断すべきです。

 

そしてここでよく考えなければいけない事として、最終目的は精子を増やす事ではなく、早く妊娠、出産、育児であるのだと思います。育児にこそ二人の人生の目標を置くべきだと思います。

 

女性の年齢もあるため、ここは割り切ってステップアップをして、早く妊娠する方が良いのかと思います。