禁欲期間は短くすべき | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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禁欲期間が短い方が成績が上がるという報告がありましたので紹介します。

2015 年から2016年にかけて818名の患者を対象として検討しています。

 

この表は4日以下の禁欲と4日より多い禁欲での臨床成績を見ています。

4日以下の場合精液量は減り、濃度も減り、総精子数も減ります。

ただ受精率、胚盤胞到達率、着床率、妊娠率、は有意に高くなります。

        禁欲4日以内   禁欲5日以上

受精率      85%                        77.3%

胚盤胞到達率          50%                        35%

着床率                     25%                        7.3%

妊娠率      40%                        10%

 

この表は禁欲期間と臨床成績です。グループ1は禁欲1日、グループ2は禁欲2日、グループ3は禁欲3日、グループ4は禁欲4日です。

グループ1の禁欲期間が短いグループが圧倒的に妊娠率(70%)が高い事がわかります。

グループ2(30%)、グループ3(25%)、グループ4(30%)

 

結論として

禁欲期間が4日を超えると精子のDNAに悪い影響を与えます。その結果として顕微授精での臨床成績が有意に低下します。1日開ける事が最も高い臨床成績を示しているためこの様な結果をエビデンスとして示して治療を行う事が好ましいと思われます。

 

Andrology. 2019 Mar;7(2):213-219.

Revisiting the impact of ejaculatory abstinence on semen quality and intracytoplasmic sperm injection outcomes