顕微授精は培養士により差が出るか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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培養士毎に顕微授精の行うタイミングや技術の差が出産率に影響するか?と言う内容の興味深い論文です。

顕微授精はとても難しい技術のため培養士毎に受精率は差はある程度出るところです。変性率もやはり異なります。ただ、培養士毎にその後の妊娠率や正児出産率までを調べている論文は出ていません。

このグラフは培養士毎の卵子を裸化する時間、顕微授精に要する時間を示しています。培養士毎に異なる事がわかります。


このグラフでは顕微授精をするために卵子を裸化する時間、培養士が顕微授精を完了するまでに要した時間と正児出産率を調べていますが、下の表の通りこれらは出産率には影響を与えない事が示されています。


この結果から言える事として、顕微授精は完了するまでの時間や高度な技術が求められるため施行者毎に正児出産率に差が出ると予測されましたが実際には影響はないとの事でした。ある程度の顕微授精の技術があれば差が出ないのかもしれません。

Human Reproduction, Vol.35, No.1, pp. 32–43, 2020
The effect of ICSI-related procedural timings and operators on the outcome