胎嚢の大きさと胎児の大きさとの差から流産率を推定する | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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胎嚢の大きさが妊娠週数と比較して小さいと不安になります。また胎児の大きさが小さい事も同時に不安になります。胎嚢が大きく胎児が小さい時もあります。この辺りがその後の妊娠継続や生まれてく子供にどの様に影響するか気になる所です。

この論文では「胎嚢の大きさと胎児の大きさとの差から流産率を予測することが可能」との報告がありましたので紹介します。

 

このグラフは胎嚢の平均の直径(mGSD)から胎児の大きさ(CRL)を引いたものと流産率を比較しています。コントロールを5-10mmとして5mm以下は非常に流産しやすいことがわかります。つまり胎児に比較し胎嚢が小さい場合には有意に流産し易くなることがわかります。

その一方差が大きい場合には流産率が低下します。つまり胎嚢が大きいと流産しにくい事になります。

 

この表はその後の影響を見ていますが、胎嚢の平均の直径と胎児の大きさの差はその後の周産期の合併症には影響を与えないことを示しています。つまり流産を乗り越えればこの件は関係なくなる事になります。

 

Fertil Steril. 2018 Jan;109(1):130-136.

Difference between mean gestational sac diameter and crown-rump length as a marker of first-trimester pregnancy loss after in vitro fertilization