高齢になると初期胚か胚盤胞か | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

四十代過ぎは胚盤胞移植より初期胚移植が効果的!というものでした。

実際、私は38歳の時、孵化中胚盤胞と初期胚の2段階移植で第一子妊娠。41歳で胚盤胞を2回移植しましたが化学流産…3回目の初期胚で2度目の妊娠をしました。

やはり四十代過ぎは胚盤胞より初期胚のほうが良いのでしょうか?

この様なご質問が有りましたのでお答えします。

一般的に初期胚と胚盤胞であれば圧倒的に胚盤胞の方が妊娠率は高くなります。
これは多数の論文で証明されており、当院でもそうなっています。

ただし、高齢の方には初期胚が良いと思います。

その理由として、
高齢になると採卵数が減りなかなか胚盤胞になりにくくなります。
胚盤胞にならなければ移植できなくなります。
採卵だけ繰り返して移植しなければ妊娠しません。

また、高齢になると胚盤胞が凍結に対して弱くなる傾向があります。融解後収縮して孵化しにくい傾向があります。

また、高齢になると培養庫での長期の培養がストレスにのり胚盤胞培養が合わないケースもあります。
培養庫の環境は子宮内とほぼ同等ですが、やはり母体の方が優っていると考えます。

そのため、胚盤胞で結果出ない高齢の方には初期胚での移植をお勧めします。

更に追加として、高齢の方には胚へのストレスを減らすと言う観点で、精液所見が正常ならば顕微授精よりは体外受精の方がお勧めです。

また凍結胚移植よりは新鮮胚移植の方が胚へのストレスが減るためお勧めです。

この際にクロミッドではなく、フェマーラを用いる事がポイントで、フェマーラは複数胚を採卵でき、かつ子宮内膜へ非常に良い作用を及ぼします。

そのため、フェマーラを用いての初期胚の新鮮胚2個移植が最も良いかと思います。