成熟卵を採るために出来る事 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

42歳でAMH0.28と卵巣機能が低下しています。
今まで8回採卵しましたが、2回しか成熟卵が採れていません。
成熟卵を採るためにできることはありますか?


この様なご質問がありましたのでお答えします。

対策としては以下の方法があります。


①刺激をしてとれる数を多くする。

一つしか取れないとどうしても未熟卵が目立ってきます。

分母が多くなればそれだけ成熟卵が多く取れる可能性が高くなります。


②トリガーを変えてみる

最後のトリガー(採卵の2日前の夜に行う薬)を点鼻薬(スプレキュア)から注射(hCG)に変更することで成熟卵が採れることがあります。


③トリガーの時間を早くする

一般的にはスプレーから採卵までの時間が33時間から35時間くらいですが、トリガーから採卵までの時間を長くすることで成熟卵が採れる可能性が出てきます。

ただし余り長くすると排卵のリスクが出てきます。


④HMGの注射を用いる

LHを含んでいるHMG製剤の注射を用いることで卵子の成熟が見込まれる可能性があります。


⑤切り替えるタイミングを遅くする

卵胞径が17mm~18mmで切り替えて採卵へ持っていきますが、このタイミングを1~2日遅らせて、より卵胞を大きくしてから採卵を行う事で成熟卵が採れる可能性が増えることがあります。


⑥刺激方法を変えてみる

クロミッドで未熟卵が多い場合にはアンタゴニスト法やショート法に変更してみる、など刺激方法を変更する事で成熟卵が採れることがあります。