化学流産の繰り返す場合不育症の検査はすべきか | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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「化学流産の繰り返す場合不育症の検査はすべきか」、

というご質問がありましたのでお答えします。


妊娠反応が出ただけで胎嚢が確認されないで生理が来るケースを化学流産 、正式には生化学的妊娠と呼びます。


不育症の定義 には化学流産は入りませんので、化学流産を繰り返す場合に不育症の検査は行う必要がないというのが教科書的な答えになります。


ただそういった化学流産を繰り返すケースでも、実際に不育症のスクリーニング検査を行うと抗リン脂質抗体や甲状腺検査が陽性になるというケースもあります。

そのためケースによっては不育症の精査を行う事は効果的であるという報告もあります。


ただ検査は高額であり、かつ保険の適応外であり、検査しても問題ないケースも多くみられます。

最終的には主治医の先生とこの辺りを相談して検査を行うかどうかを決めるのが良いかと思います。




(参考) 生化学的妊娠
 妊娠反応が陽性となった後、超音波で胎嚢( 赤ちゃんの袋) が子宮内に確認される前に流産となることをいいます。

生化学的妊娠は、以前は化学妊娠や化学流産と呼ばれていましたが、流産と区別するため生化学的妊娠と呼ばれるようになりました。

この病態は、妊娠検査薬の感度が高くなったことで診断されるようになったものであり、現在のところ、日本産科婦人科学会の定義では、流産回数には含めないことになっています。

不妊症や不育症でない若い健康なカップルでも、毎回、月経予定日に尿妊娠検査を行えば、高率に生化学的妊娠と診断されることになるからです。

生化学的妊娠を繰り返す場合には、不妊症に含まれるのでははないかという意見もありますが、現在のところ、国内外に明確な治療方針はありません。今後の検討課題です。