卒業時に良く聞かれる事 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

妊娠して順調に経過して、卒業となる時に良く聞かれる事として以下の事があります。


①「凍結卵はいつまでに戻したらよいですか?」

胚は凍結しておくとほぼ無制限で凍結出来ます。理論的には何十年でも全く劣化することなく保存できます。マイナス196度の液体窒素の中に入っている限りこれは可能になります。

ただ年齢もあり、また更新費用もかかるため、実際には数年程度の保存になる事が多いと思われます。


②「二人目を希望する場合は産後どのくらいで来たら良いですか?」

産後まず授乳をいつまで続けるか、これは御夫婦の育児に対する価値観、ポリシーが大きく反映される部分なので、特に決まりはありませんが、一般的は1年弱が多いのではないかと思います。

断乳をきちんとする事が次の治療への最初のステップになります。

授乳中または断乳後、最初の生理が開始します。

もし凍結胚などがあり、その移植を希望したい場合は最初の生理の次の生理中に一度来院して診察を受けてみると良いかと思います。

ホルモン値が不安定なため、原則として授乳中の採卵、胚移植は避けた方が良いと思います。


③「体外受精後の妊娠だとリスクが高いですか?」

 「NICU(新生児集中治療室)がある施設が良いでしょうか?」

これは特に関係がありません。体外受精後の妊娠でも母児ともに自然妊娠と何ら変わりはありません。そのため特にNICUがある施設で出産をする必要はありません。

ただ双子の場合、大きな筋腫合併、過去に早産の既往がある等の場合はNICUがある施設が良いと思われます。


④「ホルモン剤はいつまで続けたら良いですか?」

ホルモン補充は妊娠8週から9週程度で終了している施設が多いと思われます。胎盤が完成してくる7~8週以降で補充を減らしていく事で良いかと思います。


⑤「産科受診のタイミングはいつが良いですか?」

夜間の出血などの心配もあるため、早めが良いと思います。

できれば翌週等の早いタイミングで一度受診しておく事をお勧めします。

実際には妊娠後かなり多くの方が出血を経験するかと思います。特に膣座薬等でプロゲステロンの補充をしている場合は出血が多くなります。ただ出血と流産は必ずしも関係があるわけではないので落ち着いて行動する事が大切です。