フェマーラ (レトロゾール) | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

フェマーラについて


フェマーラは商品名で、一般名はレトロゾールと言います。


レトロゾールとはアロマターゼインヒビターの事です。

このアロマターゼインヒビターとは何かというと、アロマターゼという酵素をインヒビット(阻害)します。アロマターゼはテストステロンをエストラジオールに変換する酵素です。つまりアロマターゼを阻害するとエストラジオールが生成できなくなります。その結果ネガティブフィードバックがかかりゴナドトロピンの分泌を促進します。


フェマーラは本来は乳癌の治療に用いられています。乳がんはエストロゲンの影響を受けて大きくなる性質があります。フェマーラは副腎や脂肪組織を介してのエストロゲン産生を阻止します。その結果、腫瘍の勢いがなくなり、病状がおさまります。

フェマーラは排卵誘発剤としてクロミフェンに匹敵する排卵誘発効果が得られています。ただ日本では排卵誘発剤としては保険適応がされていないため自費での使用となりコストが高くなります。大体1錠800円~1000円程度します。それを5日間内服するため月5千円もかかります。


フェマーラは、クロミフェンの副作用である子宮内膜が薄くなったり、頚管粘液が減少したりといった副作用は少ないです。(その理由はフェマーラの半減期は45hであるのに対して、クロミフェンは5日~3週間ほどあります。半減期が短いため抗エストロゲン作用の副作用がでにくいと言われています


排卵誘発効果はクロミフェンと同等であり、かつ流産率が少ないと報告されています。特にPCOS症例には効果的であると報告されています。


この薬を使う上で注意点として、卵胞の発育が良いにもかかわらず血液のエストラジオール値が低いという事です。どうしてかというと、フェマーラはエストラジオールを作らせないホルモン剤だからです。そのため採血のエストロゲン値と卵胞の大きさが比例しません。エストロゲン値よりも卵胞の大きさで採卵や排卵のタイミングを見ていきます。