MotoGP/M.マルケスと J.マルティンの接触転倒について | 坂田和人 オフィシャルブログ Powered by Ameba

坂田和人 オフィシャルブログ Powered by Ameba

坂田和人 オフィシャルブログ Powered by Ameba

ブログへのコメント、ありがとうございます。いつも読ませて頂いております。

 

昨日のブログのことについて、私になりに冷静に映像を見直した感想です。

あくまで主観なので、それを捉えられない方は一切スルーして下さいませ。

 

<イギリスGP/シルバーストーンのコース図/右コーナーはピンク色、左コーナーは黄色>

 

第12戦イギリスGP「MotoGPクラス」〜クラッシュ <motogp.com>

 

今回のM.マルケスの接触は、何度映像を見てもやはり行き過ぎだったかなと感じました。

アグレッシブなのは良いことですが、ここのところ行き過ぎが多いように感じています。

少し前のレッドブルリンクのフリー走行で、J.ミルのイン側に入った時も少しリスクーだなと感じました。その前も誰かと接触しそう(接触した?)になったことが取り上げられていました。

 

W.レイニー、M.ドゥーハン、C.ストーナー、J.ロレンソ、V.ロッシ、1990年から最高峰クラスでチャンピオンを複数年獲ったライダーで、接触に関して、これほどまでmotogp.comなどのニュースで取り上げられるライダーはいなかったと思います…。 (90年代にmotogp.comはなかったです)

 

今回の第12戦 イギリスGP・シルバーストーン。

第7 右コーナーの進入でマルク・マルケスが進入ラインを外したため、インにホルヘ・マルティンが入りきっちりイン側をキープして、バイクも立ち上がり方向へ向いているため一切アウト側に膨らまなかった。しかし、アウト側から戻って来たマルケスが接触することとなる。

 

その後、第7 右コーナーを立ち上がり、今度はマルティンが第8 左コーナーの進入ラインを外すが、切り返しとなる第9 左コーナーではきっちりとインについて切り返しています。コーナー立ち上がりで、ほんの僅か立ち上がりラインが膨らんだかに見えるがレコードラインを外しているとは言い難いです。そして、そのイン側につけ入るほどの隙はないように感じたが、そこへマルケスが飛び込んで行くもマルケスのマシンの角度が外側に向いているため勢い良く2台が接触してしまった。

 

マルティンが過度にレコードラインを外していないと読み取れるのは、前を行くバックオンボードカメラを搭載しているクアルタラロのリアタイヤが通っているラインと遜色ないことが伺えます。

 

マルティンとマルケスの最初の接触は、マルティンがしっかりとレコードラインをキープし、無駄な走行ラインを通っていないことから、綺麗にパッシングしていっていると言えるでしょう。

逆にアウト側から戻ってくるマルケスは、レコードライン上を走行するライダーに注意を払うべきだったと思います。

(過去のスペインGP決勝で、ストレートエンドのヘアピンコーナーでブレーキングミスしたライダーがレコードラインに戻ってきて、レコードライン上を走っているライダーと接触して多重クラッシュを起こしたことがあります。その時も今回と同じように書きました。)

 

2度目のマルケスとマルティンの接触は、レコードライン上のマルティンに対し、マルケスは少し無理な角度で進入してきているように見えます。双方のバイクの角度に大きな違いがあったため、接触直後に2台は勢いよく転倒しています。(おそらくマルケスは、マルティンがもっとアウト側へ膨らむと想定していたのでしょう。)

 

 

私自身が多くのレースをしたり、全日本やGPも見てきましたが、長年レースをしているライダーの場合、多くのライダーは自身の走り方が変わる時期があると思います。

 

自身の走り方のミスを改め考え方を変えたり、接触により相手を転倒させてしまったり、接触により相手を傷付けてしまったことに後悔したり、回りの指摘に耳を傾けたり、自分自身の怪我によりマージンを取る走りを心掛けたり、優勝や表彰台を目前で逃した悔しさから学んだり、チャンピオンを獲得しチャンピオンとしての自覚だったり、それ以外の何かが切っ掛けであったりもします。

 

もちろん、私にもそういう時期がありました。

私が見て来た限り、V.ロッシもJ.ロレンソも同様に変化があったと思います。そういう意味で、昨日のブログには「とても残念な接触転倒」と書きました。

 

 

MotoGPは二輪最高峰のレースで、MotoGPクラスは最高峰のカテゴリー。

 

■ マルク・マルケス選手のキャリア

2010年 125クラス チャンピオン

2012年 Moto2クラス チャンピオン

2013・14・16・17・18・19年 MotoGPクラス チャンピオン

 

M.マルケスは、8度の世界チャンピオンに輝きMotoGPの歴史に名を残す、とても素晴らしいライダーです。個人的にもキレッ切れのマルケスの走りに魅了されることも多いです。

もうこれ以上、マルケスに大怪我をしてもらいたくないし、他のライダーにも怪我をされたくないです。

 

MotoGPライダーがストレートでマシンを振りながら(Sの字を描きながら)走れば、巷では車両やスキルに関係なく無意味にストレートでマシンを振り出す。V.ロッシがブレーキングでIN側の足を出せば、その意味が分からずとも真似し出します。M.マルケスが当たり前のように肘を擦り頭をリーインするとそれも流行り出す。全てMotoGPライダー、MotoGPマシンにとっては理にかなっていることです。

しかし、一般のサーキット走行では、ストレートで無意味にマシンを振ることにより接触事故が多発し重大な事故に繋がっている事例があとを絶ちません。そのため、サーキット側もサーキットアドバイザーも注意を促しています。

 

このように、いろいろな意味でMotoGPライダーは注目されているだけに、個人的には「他のライダーのお手本となる走りや振る舞いをして欲しい。」そう願って止みません。

 

よく「坂田さんはD.ビンダーが嫌いなの?」と聞かれますが、D.ビンダーが嫌いなのではなく、ルールを守らないアンフェアな走りは好きになれないのです。それは外国人ライダーのみならず。

 

ただでさえ、ロードレースはリスクを大きく伴うスポーツです。二輪は四輪 (F-1やGT) のようにモノコックのボディーで覆われていません。それだけリスクも大きいのです。今年だけで、MotoGPのMoto3クラスで1名、ヨーロピアンタレントカップで1名が亡くなっています。

多くの友人を事故によりなくした過去があれば、誰もが同じように考えることでしょう。

 

手前味噌ですが、私は過去に一度もペナルティーを受けたことはないです。それを自負して、サーキットを走り始める子供達には「速く走る前にルールとマナーを伝え」、若手育成やアドバイザーに務めさせて頂いております。