5月30日のブログにて、「毎年最終戦のバレンシアGPで多くの転倒者が出ていますが、仮に12月にツインリンクもてぎで開催された場合、それを遥かに上回る転倒者が出ることは容易に想像出来ます。
その理由として、路面温度が低下すると、ツインリンクもてぎのようなストップ&ゴーのコースレイアウトは転倒リスクが格段に上がるのです。」と書きましたが、もう少し詳しく説明します。
ツインリンクもてぎは、コーナーが連続する区間は少なく、ストレート後にコーナー、そしてコーナーを立ち上がるとまたストレートの繰り返しが多く、いわゆる「ストップ&ゴー」のコースレイアウト。
GP開催のサーキットの中で一番ハードなブレーキングを必要とします。そのため、ツインリンクもてぎ攻略としてブレーキ対策をするチームもあります。
またストレート後のコーナーは、コース幅が狭く低速コーナーが多いのも特徴的です。(60km台まで落ちる) 言い方を変えれば、加減速が多く、ストレートからの減速率が非常に大きいと言えます。
そして、コーナーの路面はフラットでカント (バンク) が少ない。そのため、ブレーキングは難易度が増します。他のサーキットと比べ、レースウィーク初日はブレーキングミスによりコースアウトをするライダーが多いです。
ストレート区間は5箇所。
最終コーナーから第1コーナー (ホームストレート)
第2コーナーから第3コーナーまで
第4コーナーから第5コーナーまで
V字コーナーからヘアピンコーナーまで
ヘアピンコーナーから90度コーナーまで (バックストレート:最高速314.3km 2015年 A.イアンノーネ/ドゥカティ)
ストレート区間が多いため、気温が低ければ低いほどストレート区間でタイヤが急激に冷やされ、フルブレーキング時はタイヤのグリップ不足やブレーキの制動距離に影響が出やすい。
しかも、フルブレーキング後は一気にフルバンクへ持って行くコーナーが多いため、タイヤへの熱が入りにくく、しかもタイヤが冷えているとライダーはグリップ感を掴みづらいのです。
特に冬場の転倒は、「前兆がなく転倒した」「気が付いたら転倒していた」ということが多いようです。
最終戦となるバレンシアGPのバレンシアサーキットも、ツインリンクもてぎに似たレイアウトのコーナーが存在し、しかも気温が上がらない時期に行うためレースウィークでの転倒が非常に多い。
ツインリンクもてぎと比較すると、ストレート区間が少なく(1箇所のみ)、左右の切り返しとなる連続するコーナーが多いので、バレンシアサーキットの方が少し条件が良いかも。(同じ路面温度の場合)
このような理由から、ツインリンクもてぎは「気温が下がれば路面温度も下がるので、転倒のリスクが大きくなる」と言うことになります。
6月1日の motogp.com にて、カルメロ・エスペレータ氏 (ドルナスポーツ最高経営責任者)が「11月中旬まで欧州に滞在することを決定しました。従って、オーバーシーのイベントに関しては、開催が可能の場合、11月中旬以降のスケジュールにする必要があり、日本GPを開催するには、あまりにも時期が遅すぎます。」と発言。
仮に新型コロナウィルスが収束していたとしても、季節柄雪が降れば中止となるだろうし、ライダーの安全を考えれば、今回は賢明な判断だったと思います。
少なくとも欧州ではMotoGPが開催されるので、日本からライダー達にエールを送りましょう。
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Twitter <@kazuto_sakata>
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