「特別快速きたみ」は峠の境にある「石北トンネル」を約4分で通り抜け、北海道の西側(日本海側)から東側(オホーツク海側)へやって来た。

 

トンネルを出て峠越えを実感するや否や、進行方向の右側には切通しの急斜面が、左側には谷が待ち構え、S字カーブが続く。

 

列車はトンネルの途中から、惰性走行とブレーキを繰り返しているが、急な下り傾斜が運転の様子からもよくわかる。

 

※写真1・2:石北の峠を越え道東を目指す「特別快速きたみ」(上越信号場~奥白滝信号場)

 

秋深まる9月。黄色に色づき始めた森の中を「特別快速きたみ」は西日を浴びながら、午後4時23分、奥白滝信号場をまもなく通過。

 

かつては林業などを生業とする人々を支える小さな駅だったが、今はひっそり。

太陽に反射するキハ54。ギラリ!

秋になると、早朝、上り坂を走る特急列車の車輪と線路の間に落ち葉がはさまり、車輪が空転して遅れることがあると聞くこの区間。

 

車内放送でも流れるが、エゾシカやキタキツネなどの野生動物も出没する。

大自然の中を走る石北本線の定時運行は、本当に大変だ。

 

 

 

※写真3~8:下り坂を通り奥白滝信号場を通過する「特別快速きたみ」

 

かつての駅舎前を通過。

引き込み線があるので、右前方にプラットホームがあったのかも?

※写真9・10:車内からの奥白滝信号場

 

上川駅を発車しすぐに森林地帯に入り、約35分が経過するが、初めて森の隙間から畑が見えてきた。

久しぶりに人里に帰ってきたな~!

 

大雪山連峰を唯一横断する石北本線は、ローカル色がとても強い。

※写真11:視界が広がり畑発見!(奥白滝信号場~上白滝)

 

列車は森の中を左右に曲がりながら坂を下り続け、オホーツク海に流れる湧別川の鉄橋を渡る。

※写真12:左に曲がる鉄橋を通過中(奥白滝~上白滝)

 

湧別川鉄橋の通過シーンは動画でどうぞ。

(撮影時間:18秒・2021年7月)

 

旭川発網走行「特急大雪1号」も登場!

(撮影時間:30秒・2021年7月)
 

おっ!森の中から「特別快速きたみ」が、ひょっこり姿を現した。

原生林のローカル線を走る一両編成の列車!実に北海道らしいね。

 

 

※写真13~15:深い森の下り坂を慎重に走る「特別快速きたみ」(奥白滝信号場~上白滝)

 

列車はまもなく国道と交差する上白滝跨線橋を通り抜けるが、ここから景色が一変!

 

青い空と白い雲、深緑に鮮やかな小麦色。いいね~色鮮やかで、まるで絵のようだ。(※小麦畑刈取り前の7月中旬頃がお勧めでしたが、2021年7月に再訪した時は、線路側の作付けが小麦ではありませんでした・・残念。) 

※写真16:色鮮やかな北海道のローカル線の風景(奥白滝信号場~上白滝)

 

ただ・・たまにしか列車は来ません 。

でも・・鳥の囀りと虫たちの鳴き声を聞きながら、の~んびり列車を待つのは、いいものですよ。

 

「カンカンカンカン・・・」

 おや? 踏切の警報音が、遠くから微かに聞こえてきた。

待ってました!何が来るのだろう?

※写真17:キハ183系スラントノーズ・網走発札幌行き「特急オホーツク」(奥白滝信号場~上白滝)

 

次は、現在、旭川~網走間を活躍している「特急大雪(キハ183系)」。

※写真18:網走発旭川行き「特急大雪4号」(2017年6月下旬)

 

動画は「特急大雪1号」(2020年8月中旬)。

「ガタン・ガタン~♪ガタン・ガタン~♪」線路のジョイント音がリズミカルで、何度聴いてもいいね~

(撮影時間:50秒)

 

乗り鉄旅を続けよう。

この右カーブを過ぎると山間区間をやっと抜け出し、列車は久しぶりに直線区間へ。

 

 

※写真19~21:「特別快速きたみ」は、ここから再び快走を始める(8月中旬)

 

午後4時29分、上白滝駅を通過。

上白滝駅(2016年3月廃止)は、1日上下各1本しか列車が停車しない「秘境駅」として知られ、全国の鉄道マニアが立ち寄る駅。

 

この日も数人の旅人が「特別快速きたみ」の通過シーンを撮影中。

この時間帯は西日が強く逆光になるので、列車通過後もシャッターを切って、思い出の一枚にして欲しい。

 

※写真22・23:「特別快速きたみ」秘境駅・上白滝駅を通過

 

「あと3分で白滝駅に到着」と車内放送が流れ、列車は最後の直線を加速!

まるで競馬のラストスパートのようだ。

 

とても楽しかった「特別快速きたみ」の旅も、まもなく終焉を迎える。

後ろ髪をひかれる思いだが、そろそろ降りる準備をしよう。(泣)

※写真24:ゴール前の最後の直線!(上白滝~白滝)

 

午後4時32分、白滝駅到着。

直線区間では軽快に疾走し、難所続きの厳しい峠越えもさほど苦戦している様子がなかった「特別快速きたみ」。

実に快調な走りでした。お疲れ様!

 

ちなみに駅間最長区間となる上川駅からの所要時間は43分。

六角さんも「実際に乗ってみると、この一駅区間は長いな~」と「呑み鉄本線日本旅」で語ってました。乗り鉄としては、外せない区間と思いますね。

※写真25:「特別快速きたみ」白滝駅到着

 

白滝駅は時計塔のある駅舎が特徴。

列車を見送り、30分後にやって来る帰りの列車まで一休み。

 

 

※写真26~28:午後4時32分・「特別快速きたみ」白滝駅発車

 

白滝駅前に出ると目に入る「白滝ジオサイトマップ」の大きな看板。目立つ。

 

北海道に初めて人がやって来た旧石器時代(約2万5千年~1万年前)、白滝には優れた刃物など石器の原料となる黒曜石が大量にあったので、たくさんの人で賑わっていたそうです。

※写真29:白滝駅前にある「白滝ジオサイトマップ」の看板

 

ここで作られた石器は日本各地のほか、遠くはシベリアでも発見されており「巨大石器工場」がここにありました。

当時の様子は白滝にある遠軽町埋蔵文化財センターへ行くと、よくわかります。

※写真30:遠軽町埋蔵文化財センター(遠軽町白滝支所に併設)

 

ちなみに私、白滝村がこの地を国指定史跡「白滝遺跡群」として国に申請した時、その仕事に少し関わりました。

 

北海道でもあまり知られていない、スケールの大きい史実。是非、多くの人に知っていただきたいですね。(※2022年11月19日の報道によると、2023年春に日本最古の「国宝」になるとのこと。とても嬉しいです!)

 

その後の「特別快速きたみ」は、遠軽発旭川行き普通列車(4629D)との列車交換のため、午後4時42分、下白滝駅(2016年3月廃止)に到着。

 

 

※写真31~33:「特別快速きたみ」下白滝駅到着

 

遠軽発旭川行き普通列車と、ここで列車交換ですが、共に2両編成のキハ54とキハ40のツーショット。

これは珍しい!

※写真34:貴重な一枚!(下白滝駅)

 

「特別快速きたみ」は午後6時24分、終着駅・北見駅に到着。多くの乗客は、きっと北見駅まで利用するのだろう。

 

私は白滝駅から、この旭川行き普通列車に乗り、もう一度、石北の峠越えをキハ40で楽しみたい!

どんな旅が待っているのかな~? 

 

    (つづく)

 

※追伸

「北海道ローカル線旅日記!夏の石北本線」をご訪問いただきまして、ありがとうございます。

 

なお、キハ40とキハ54は、2024年3月のダイヤ改正に伴い新型車両(H100系)に入れ替わるそうです。

キハ40は車体の老朽化が進んでいるので仕方ないことですが、この姿を見ることができないと思うと残念です。

長い間、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。(2023年12月23日追記)