午後3時49分「特別快速きたみ」は上川駅1番ホームに到着。

上川町は大雪山国立公園の北に位置し、上川駅は北の玄関口。ホームが広いね。

 

あの黄色い看板!目に付くな~

「北海道の代表的な湯どころ・層雲峡温泉の近くにある「黒岳ロープウェイ・リフト」を利用し、黒岳(標高1,984m)の7合目まで上り眺める大雪山の景色はいいですよ~」と告げているのだろう。

※写真1:昭和の香りがする1番ホーム

 

上川駅の「JR北海道わがまちご当地入場券」の裏面には、上川町の代表的な観光地「銀河・流星の滝」や、日本一紅葉が早い大雪山の「銀泉台の紅葉」などがPR。

 

まもなく紅葉シーズン!行きたいね~

ちなみに表面は、北見行き「特別快速きたみ」です。

※写真2:上川駅の「JR北海道わがまちご当地入場券」(惜しまれながらも9月30日で販売終了)

 

お~これはインパクトがある。

青春の思い出・上川駅1番ホーム!

通学利用も多いんだね。

少し旅を巻き戻して・・実はこのポスター、中愛別駅にありました。

私も高校時代、キハ22の列車通学だったので、身近に感じるね。

午後2時過ぎ、旭川駅と上川駅からやってきた普通列車が、ここで列車交換。

両方の列車から高校生が降りてきたけれど、午前は授業、それとも部活動だったのかな? 人生いろいろあるけれど、充実した高校生活を送って欲しいと思う。

 

※写真3~7:旅の数年後の中愛別駅でした。

 

さて、話を乗り鉄旅に戻して・・

午後3時49分「特別快速きたみ」は上川駅を発車。

待ってました!ここからいよいよ、北海道の鉄道で一番標高の高い所を通る「石北(せきほく)の峠越え」の始まり!

※写真8:上川駅を発車し深い森へ進む「特別快速きたみ」

 

かつて駅だった中越(なかこし)信号場・上越(かみこし)信号場、峠の境にある石北トンネル(長さ4,329m)、かつて駅だった奥白滝信号場、秘境駅として知られる上白滝駅(2016年3月廃止)を通過し、たどり着く次の駅は37.3km先の白滝駅。

 

ちなみに上川~白滝間は、現在、JR在来線で全国最長の駅間区間!

 

NHK-BS3の人気番組「呑み鉄本線日本旅!夏の石北本線」で、六角精児さんも「実際に乗ってみると長いな~」と語ってました。乗り鉄さんの人気区間になっていくのかも?

 

列車は上川町の市街地を過ぎ、上り傾斜に負けないように加速!

※写真9:上川発遠軽行普通列車(キハ40)は1日1本のみ。2019年3月のダイヤ改正で早朝6時台から11時台となり、札幌→旭川→網走→釧路まで1日・普通列車で移動可能。いつかチャレンジしたい!笑(上川~中越信号場)

 

進行方向右側には大雪山連峰が見えてきた。 

※写真10:険しい山肌を見せる大雪山連峰(上川~中越信号場) 

 

列車は石狩川支流の留辺志部(るべしべ)川に沿うように走っている。 

上り勾配が少しずつきつくなり、S字カーブも続くが、スピードを急に落とすことはない。

 

ステンレスボディの軽量設計で「特急オホーツク」並みの馬力を持つキハ54! 

底力を示す十分な走りだ。

 

進行方向の左側に山の斜面が迫ってきた。右側の留辺志部川に挟まれ、ここから連続する覆道区間に入るが、内陸でこのような区間は北海道では他にはない。

屋根を支える鉄骨を見ると、石北本線の歴史を感じる。

 

※写真11~13:厳しい地形を痛感する覆道区間(上川~中越信号場)

 

ちなみにここは2016年8月、北海道を襲った複数の台風による大雨で川が氾濫し一部覆道の線路路盤が流出した区間。

 

気象変動の激しい近年、これまでなかった災害が発生する中、鉄路を守ることは本当に大変なことと思う。関係者の皆様にあらためて感謝申し上げます。

 

難所を通過し、午後4時、かつて駅だった中越信号場にやって来た。

うわ~懐かしい~!

学生時代に乗った列車が中越駅で列車交換したシーンを思い出す・・

古い駅舎にその名残を感じるな~

※写真14・15:いつも特急列車であっと言う間に過ぎてしまう中越信号場。実はとても気になっていたんです・・笑

 

中越信号場には現在、通過線が3本、引き込み線が1本あり、かつては石北の峠を越える列車の中継駅として活躍していました。 

 

上川~白滝間は現在、上下12本しか運行してませんが、かつては20本以上が運行。往時の賑わいを見たかった・・

 

 

 

 

 

※写真16~21:中越信号場を通過し峠に向かう「特別快速きたみ」

 

中越信号場を過ぎると、狭い険しい山間に所狭しと、石北本線、留辺志部川、国道273号線が絡み合う。

 

石北本線は山の斜面の中腹あたりを走るが、斜面の地形に沿って線路が敷設されているので急カーブの連続。

まるで奥の細道!スピードダウン。

※写真22:この先に何があるのだろう?(中越信号場~上越信号場)

 

斜面の切り通し~S字カーブ~覆道が続く石北本線。列車は上り坂を時速50~60kmで上がっているようだが、まだ余力はありそうだ。

※写真23:難所が続く石北本線(中越信号場~上越信号場)

 

列車は谷間に架かる鉄橋を越え、あと少しで峠にある上越信号場に到着。

ここまで随分、登ってきた感じがする。

※写真24:鉄橋を慎重に越える「特別快速きたみ」(中越信号場~上越信号場)

 

それにしても約90年前、どのようにしてこの鉄路を切り開いたのだろうか?

ここが石北本線全線開通が遅れた難工事区間であったことは、ここに来れば誰でも容易に想像できる。

 

冬になると積雪は2mを超え、気温は氷点下30度に達する厳冬の地。

先人の苦労を思い浮かべると頭が下がる思いになるし、今も鉄路の維持管理に大変なご苦労があると思う。

 

「特別快速きたみ」は難所を乗り越え、

旭川紋別自動車道路の下を左に曲がりながら、

午後4時10分、上越信号場に到着。特急列車待ち合わせのため3分停車。

キハ54君、まずはお疲れ様でした。

 

ここからだと駅舎がよく見える。古い木造駅舎に歴史をとても感じる。

 

※写真25~28:「特別快速きたみ」上越信号場到着

 

人の気配はなく、峠の休憩所のような信号場。鳥の囀りと虫の鳴き声、ディーゼルのエンジン音しか聞こえない。なんかいい感じ・・・

しばらくここにいたい・・・

 

あっ!網走発札幌行き「特急オホーツク6号」がやってきた。

しかも、先頭車はスラントノーズ!

旭川駅に続き本日2度目の出会い、これはラッキー!

※写真29:接近!「特急オホーツク6号」(上越信号場)

 

窓越しに今か今かと待っていると「特急オホーツク6号」は停車するような速度で、ゆっくり目の前を去っていった。

 

徐行運転は信号の関係とは思うが、30年以上活躍しているキハ183が「やれやれ、峠で一休みしたい」と言っているように、つい思えてしまう。

本日も定時運行、お疲れ様!

 

 

※写真30~32:石北本線ならでは!ゆっくり通過する「特急オホーツク6号」(上越信号場) 

 

スラントノーズが姿を消し、現在、上越信号場での日中の特急列車との列車交換がないことを考えれば、このシーンはとても貴重。大切にしたいね。

 

午後4時13分「特別快速きたみ」上越信号場発車!

※写真33:「特別快速きたみ」上越信号場発車!(上越信号場~奥白滝信号場)

 

この線路切り替えポイントを過ぎると、列車はすぐに石北の峠越えのサミット「石北トンネル」へ。

遂に突入!窓を閉めよう!

※写真34:「特別快速きたみ」まもなく石北トンネルへ(上越信号場~奥白滝信号場)

 

トンネルに入るとまもなく、車内に響いていたエンジン音が急に静かになった。

 

「おや?坂を下り始めたのかな?・・ということは、ここが峠のてっぺん!北海道の鉄道で最も高い所だ!」と妄想にふけり、何かを発見した自己満足に勝手に浸る。

でも・・こんなことを考えて乗っているのは、きっと私だけ。(笑) 

 

列車後方のデッキからトンネル内を眺めると、トンネル内に光を照らす左右の蛍光灯が次々と遠くに去っていく。

※写真35:列車後方のデッキからの眺め(トンネル内を上手に撮影できなかったので、似たような曲線からトンネルに入る根室本線・古瀬トンネル内の写真です。)

 

トンネル内にブレーキ音を響かせながら、「特別快速きたみ」は軽快な足取りで、まだ遠いトンネルの出口を目指していく。

 

   (つづく)

 

※追伸:「北海道ローカル線旅日記!夏の石北本線」をご訪問いただきまして、ありがとうございます。