やー!課題の解答アップしちゃえー! | (旧)しずかなかずし

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本日、書きあがりました。

クリティカル・シンキングの課題「顧客のクレームは宝の山」に賛成か反対かを論じよ…への解答です。

アップしちゃいます。


クラスのMLへの投稿は7/19の第1回授業(授業...ていうのか?)の2日前なので、今送るかどうかちょっと迷い中だけど。自分のを出す前に他の人の読みたくないし、かといって1週間前に一番乗りで出すのもびっくりされるよな~。


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私は、「顧客のクレームは宝の山」はという話に言い方には反対である。その理由を以下の様な状況を想定して、説明したい。

企画部にて既に売り出した洗濯機の次世代モデルを企画中。

次世代モデルのウリとなる新機能や、今までに無い革新的な製品の企画検討中という状況で、様々なニーズを調査している。その際、既に売り出したモデルに関するユーザの声を集めようと、コールセンターに集まったユーザからのクレームやお客様登録カードに書かれたユーザコメントなどを精査している。

まず最初に、「宝の山という状態」はどういう状態であろうか?例えば、次世代モデルの製品開発において、数多あるクレームの一つ一つに対応した製品を開発し、発売すれば爆発的な大ヒット商品ができること。つまり、大ヒット商品はユーザクレームの山から生まれる状態のことと考える事ができる。

確かに、クレームから改善のヒントを得、ユーザの不満を満たす事で、次の商品の購入機会が増やせる、つまりリピーターが増えると言う考え方もある。しかし、耐用年数が5年から10年もある洗濯機のような商品で、クレームを付けてきた人がその要求を満たしたからといって、すぐに、開発サイクル1年から2年程度の次世代品のリピーターになる可能性は低い。

また、既に発売中の製品が「夫婦2人、子供2人程度の一般的な家族構成を想定して開発されているとすると、例えば、「一人暮らしなのに容量が大きすぎて水道代が余計にかかる」というクレームがあった場合はどうなるであろうか。このクレームは、本来ターゲットとしていないユーザからのものであり、次期モデルの”宝”にはなり得ないかもしれない。つまり、クレームはそもそも本来意図しないターゲットユーザからの声である可能性があるのである。

さらに、ユーザクレームから企業の業績悪化を招くという、期待とは全く反対の状況に陥った例もある。雪印乳業の食中毒事件では事件後の対応が悪く、結果として企業イメージを悪化させ直接的に業績悪化に結びついてしまった。これなどは、クレームから大ヒット商品で業績アップとや全く逆の事例であり、クレームの対応の仕方次第で会社の信用やブランドイメージを悪化させるということで、単にクレームは宝の山とは言い切れない事例ではないだろうか。

一方で、1995年、ユニクロが実施した「ユニクロ悪口言って、100万円」なる企画は、ユーザクレームを見事に製品とサービス向上に役立て、好業績につなげた例である。それをもってクレームには顧客の要望が沢山詰まっていて、宝の山だろうという言い方もできる。が、これとて、100万円を拠出し、特別なキャンペーンをしないと、黙っているユーザの声が吸い取れない、という意味で、単純にクレームを宝にするのは難しい事を物語っている

と言える。普通は、「会社に積極的に文句を言いたい」、「とにかく改善して欲しい」と声に出して訴える特定の積極ユーザがクレームをしていると考えた方がいいだろう。

この例は極端だとしても、一般的にクレームには、顧客の製品に対する期待(ニーズ)が含まれているのも事実で、クレームを調査すれば顧客の真の要求が分るかもしれない。すなわち、クレームにはニーズが含まれているから「顧客クレームは宝の山」という考え方である。しかし、そうした考えは、ユーザニーズをクレームからのみ取り出すのを前提にしているのではないだろうか。ユーザニーズは別のやり方、例えば市場調査(消費者への積極的なアンケートなど)や、売れている競合製品の調査などから得る事ができる。この場合、クレームはニーズの分析の一部でしかないだろう。

例えば、「洗濯機の音がうるさい」というクレームがあった時、音がうるさくてテレビの音が聞こえにくいのか、夜中に洗濯しなければならなくて近所迷惑になるという生活スタイルからくるニーズなのかはクレームだけからは分らず、クレーム=ニーズという考え方からすると、クレームは宝になる可能性はあれど、宝の山とはいえないのではなかろうか。

特に、冒頭で想定している状況は、今までに無い革新的な洗濯機の開発を目標にしている。

過熱蒸気で調理する革新的な技術から生まれたシャープのオーブンレンジ、「ヘルシオ」や当初、開発者自身も売れないのではないかと思われた、ソニーの「ウォークマン」など、新たな市場を想像するような革新的な大ヒット商品はクレームからは生まれない。「このボタンが押しにくい」から形状を見直そうとか、取っ手がすぐに折れてしまうという何件もの報告を受けるので、取っ手の構造を見直したり、素材を見直してみよう、というという形で次期製品の改良にクレームを役立てる事は可能だ。しかし、そのようなクレームからの改善は、今までの商品の延長線上の改良型商品開発には有利かも知れないが、革新的なアイディアが出る可能性は少ないはずである。

以上のような理由から、私は「顧客のクレームは宝の山」に反対である。