真実の道を進むためには、

 一本の綱の上を超えていかなければならない。

 その綱は、べつに高いところに張られているわけではない。

 それどころか、地面からほんの少しの高さに張られている。

 それは歩いていかせるためよりも、

 むしろ、つまずかせるためのものであるようだ。

  頭木弘樹 編訳『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)から

 

 今日のカフカの言葉はインターネットの世界にも当てはまります。私たちを「つまずかせる」情報がネット空間にあふれています。情報の綱は高いところに張られているわけではなく、低い位置、私たちの生活のすぐそばに張られています。真実だと思っていた情報が虚偽であったり、虚偽だと思っていた情報が真実であったり、日々情報につまずかされています。低く張られた情報の綱につまずかされながら、真実の情報にたどり着くのかもしれません。

写真は京都府にある「岩船寺」です。