これまでに何度か聞かれて
その度に、ゾワっとしてしまった。
どうしてだろ？と感じてみて分かった。
相手と自分の間に、
つながる橋が見えないからだ。
まだカウンセリングのカの字も知らないころ。
人に相談するということをほとんどしない私が
初めてカウンセリングなるものを受けたとき
「あなたは どうしたいんですか？」と
聞かれて固まってしまいました。
「どうしたいって、それが分からないから来たんだろう」
「分からない私は、ダメなのか」
と、怒りや情けなさで余計に混乱したんですね。
そして、自分もカウンセリングを学ぶようになって
ようやくその意味が分かりました。
私が最初に学んだのは、傾聴がメインだったので
共感を大切にする。
アドバンスはしない。
が基本。
といっても、聞きっぱなしでなく
気持ちが楽になるのを一番にしながら
クライエントさんの視点が変わり、視野が広がる
のを目的にしていました。
ただ、相談は１時間、と決められていたので
そこまでたどり着かない時は、
どこか焦りが出てきてしまったりもするんですね。
(いわゆるクロージングができるか問われるところ)
と、つい言ってしまうのが
「あなたは どうしたいんですか？」
という言葉。
ああ、目指すところへ導けないとき
自分が不甲斐ない気がして
でも それを認めたくなくて
相手に責任をおしつけたくなるんだ
と身をもって感じました。
自分が相手を何とかしてあげなくては
というおごりや
私は解決できる人、あなたはできない人
と、自分と人とを区別する上から目線や
まだまだ残っていた過去の傷。
そんなものをいっぱい抱えていて
頑張ることこそ素晴らしいと思い込んでいた。
だから、自分の弱いところを
相手の中に見つけそうになると
否定したくなってしまう。
心と心をつなげる橋をかけるどころか
距離を置こうとしていたんですね。
最初にそれが分かったので
十分に肝に銘じて仕事を始められたのは、幸いでした。
もちろん どうしたいの？と聞くのは
いけないことではないと思います。
でも、いろんな方法を考えて考えて
どうしようもなくなっている人へ
それを聞いても、答えは出てきません。
むしろ 頭で考えすぎて、よけいに分からなくなるか
相手が喜ぶ答えを言おうとするか
どちらにしても、本音からは遠ざかります。
それより、私が大事にしたいのは
「どんな自分でいられたら嬉しいと思う？」の方。
人に左右されないで、言いたいことが言える
体調が良くなって、したいことができる
心配しないで、落ち着いていられる
自分は自分のままでいいと、信じられる
好きなことを思い切り楽しめる
何でもいいんです。
肩の力が抜けて、心がフワッとするなら
もうそこへ向かっているから。
もし今「自分はどうするのが一番いいのだろう？」と
自問自答を繰り返しているとしたら
「私を喜ばせる方法は？」に変えて
ゲームのように楽しんでみたらどうでしょう。
うるさい人から離れて、静かになること？
イラっとしたら、ちゃんと言葉にしてみること？
したくないことを断ること？
人の世話をやめて、自分の時間をつくること？
仕事を休んで、映画を観に行くこと？
一人でゆっくりお茶を飲むこと？
誰かを誘って、旅行へ行くこと？
好きな本を読みまくること？
気になっていた趣味を始めること？
私なら、今とりかかっていることを仕上げることと
絵を描くこと。
自分の心へ橋をかけてあげると
自分が喜ぶ方法が、したいことにつながるんだなあ
って分かります。
それと今度「あなたは どうしたいの？」
と聞かれたら
そっくりそのまま相手にお返ししてみようかな。
from 美咲
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