巨大な怪獣が東京を破壊するといった迫力ある
特撮効果の斬新さも相まって「ゴジラ」は大ヒット作となった。特撮を担当したのは円谷英二で
後に、かの「ウルトラマン」を世に出した名匠だが
当時も映画界では傑出した存在であったらしい。
この映画の大ヒットを得て翌年作られた
2作目「ゴジラの逆襲」ではもう一匹の怪獣アンギラスが登場し特撮を駆使した怪獣同士の闘いが映画の目玉となる。
この映画では反戦的な社会派映画の要素は薄まり
早くも娯楽作品「ゴジラ」路線に舵を切った感がある。2作目は更に大ヒットを飛ばし味をしめた東宝はその後「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」など怪獣同士の対決映画を続け様に製作し空前の怪獣映画ブームが始まる。
ただ回を重ねるごとにお子様向け映画になっていった感は否めない
まさにゴジラブームの到来である。
子供達の人気者であるゴジラがいつまでも
人類の絶対的悪役である事に東宝が危機感を覚えたのか1964年に制作された
第5作目「地球最大の決戦」からゴジラは人類を
地球外侵略者から救う
正義の味方として描かれるようになる。
この第5作目も大ヒットを飛ばし
その後はゴジラが地球を危機を救うヒーローとして描かれた映画がたて続けに作られる事になる。
僕が怪獣ゴジラに熱中していったのはこの頃からで
映画館で初めて観たのは「怪獣総進撃」であった。
タイトル通り東宝映画に巨万の富を生み出した
「怪獣」達が揃って登場する映画で少年の心を
しっかりと鷲掴みにする内容であった。
また当時頻繁にゴジラ映画の旧作がテレビで
放映されていてこの時期は少年にゴジラを
神格化するには充分な環境であったのだろう。
また少年達が「怪獣」への関心を高めたのは
当時TBSテレビで放送され始めた
「ウルトラマン」の影響が大きいが
皮肉な事にこのハンサムな正義のヒーローの登場により
映画の産物である大時代的なゴジラの
人気はとって変わられた感がある。
まさにそれは映画界の衰退と同時進行していったかのようだ。
やがて僕自身も成長するに連れお子様ランチ的な印象を拭えない怪獣物には興味を失って行く。
僕が神的存在ゴジラに再会を果たすのは
1984年に公開された
ゴジラ誕生30周年記念作品「ゴジラ」であった。
久々に制作された「ゴジラ」は正に人類の強敵悪役として復活している。
大人の鑑賞にも耐えうる様に米ソの軍事対立を描いていたり俳優達も当時のオールスターを配置していて東宝映画の意気込みが伺える映画であった。
久々に僕も映画館に足を運ぶ事になる。
すでにSF映画がハリウッドでもドル箱としての地位を確立していた事もあって「ゴジラ」の復活となったのだろう。だが当時すでに映画に対する目が肥えていた僕にはあまり刺さる所のない映画であった事は確かだ。
この映画も当時としてはヒットを飛ばし
気をよくした東宝は
その後続け様に「ゴジラ」シリーズを再開させる。
平成ゴジラシリーズと呼ばれるそれらは
一部のマニアには指示されていた様だが
僕はすでに映画としての「ゴジラ」には
興味を失いつつあった。
2016年になり
まさにゴジラ復活の金字塔的名作「シン・ゴジラ」に出会う事になる
この映画の素晴らしさついては既に色々な所で書かれていているのでここでは割愛する。
全く新しい視線で描かれたゴジラ映画の世界、世界レベルの映像を全編通して描いたまさに庵野監督の大作であった。
そしてその7年後
ゴジラ生誕70周年作品として
制作されたのが
「ゴジラ−1.0」
でありました。
お話の舞台は第一作よりさらに
遡り終戦直後の日本である。戦争により何もかも焼き尽くされ焦土化した日本を「0」と定義し
超驚異的破壊者である怪獣
ゴジラ
の無差別な攻撃を受ける様を「−」(マイナス)
と表したタイトルはなかなかだと思った。
映画の時代背景からもゴジラ第一作目を意識しているのはうかがえるが、その映画の魂をさらにわかり良く現代風に貫き通しているあたりが何よりも素晴らしく感じられた。
現代よりも遥かに科学も兵器も発達していない
時代での巨大獣ゴジラとの対戦という設定にも
興味が持てる設定だ。
主役は元航空兵である神木隆之介で
戦後は機雷除去を小さな船で生業としているその仲間達の描き方がなかなか良かった。
彼らはゴジラに対峙させられ危機的状況を経験する事になるのだがその事実を日本政府は隠蔽する。
船長である佐々木蔵之介がその事に対して言う台詞がなかなかいい
「情報操作はこの国のお家芸だ」
これは戦時中、連戦連勝という虚偽の報告を
全日本国民に吹聴していた日本政府を揶揄した
台詞。
さて見事本場アメリカのアカデミー視覚効果賞を
受賞した本作だがなるほどそのVFX技術を駆使した
迫力あるシーンは見応え充分で感動させられた。
世界中にそのVFX技術の素晴らしさを認めさせた
担当者の1人が同映画の監督である山崎貴自身で
監督自らがこの賞を受賞したのはスタンリー・キューブリック以来55年ぶりの事らしい。
映像の見事さに加えてこの映画で特筆すべきは
やはりヒロインを演じる浜辺美波の存在だろう。
驚くほど美しく魅力的な彼女が出た事により
ゴジラ映画に更なる魅力がつけ加えらた感がある。
最高のゴジラを
是非ご覧ください
2023年日本映画
山崎貴 監督
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