5月29日の日経新聞の一面から。

2つの大きなテーマについて書かれています。

 

 

まずはトップ記事。

 

中国、国家安全法を採択

制定方針 香港へ統制強化 全人代閉幕

 

北京で開いた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を採択して閉幕した。中国が国家安全に対する機関を香港に設置して直接取り締まりが出来るようになる。

香港で言論の自由が中国全土並みに制限され、高度な自治を認める「一国二制度」が形骸化するとして、米国や香港の民主派は反発を強めている。

 

 

この問題に関しては

 

190.「香港デモ-それは自由と民主主義を守るための命掛けの戦い-」

https://ameblo.jp/kazunari-itoh/entry-12534829144.html

(2019年10月5日)

 

で香港の歴史と中国との関係。

香港人による「逃亡犯条例」撤回に代表される「5つの要求」についてのデモについて書かせてもらいました。

 

要点としては

・香港はその国際的な名称を『中華人民共和国 香港特別行政区』といい、2047年までは中国政府自身が唱えた「一国二制度」のもと「高度な自治」が認められている。

 

・故に現在香港は中国の領土ではあっても、共産党政府の施政下にはない。

 

・そもそも香港は1842年~1899年、当時の清から段階的にイギリスに割譲され、以後1997年までイギリス領であったため、香港人に中華人民共和国人民としてのアイデンティティはない。香港人は自分達を「中国人」だとは思っていない。

 

・しかし「返還」後、香港の「高度な自治」は中国によって反故にされ続け形骸化の一途を辿ってきた。

 

・それに対する香港人の反発が昨年4月、いわゆる「逃亡犯条例 改正案」を切っ掛けに爆発し、現在までの「民主化を求める香港人の命掛けのデモ」になっている。

 

 

そして今回、中国共産党政府は「香港が国家安全を守るための法制度と執行メカニズムに関する決定」を採択し、国家分裂、政権転覆、組織的なテロ活動など国家の安全に重大な危害を与える行為・活動や、外国勢力による香港への干渉が禁止されることになります。

 

 

それによって具体的に危惧されているのは、現在香港人が行っているデモが完全に「違法行為」とされること。「表現・集会の自由」が著しく制限されること。中国の全人代常務委が香港の議会「立法会」を迂回して直接香港人を規制する法を制定し執行すること。が挙げられます。

早い話が香港に認めた「一国二制度」と「高度な自治」な完全に否定する、ということです。

 

 

中国側の主張としては、香港の問題はあくまで中国内の「内政問題」であり、米国をはじめとする外国が香港に介入することは「内政干渉」だとしています。

 

 

しかし、独自の国際通貨をも持ち、国際的に認知されている「特別自治区」に対し、そもそも施政権を持っていない中国が直接強権を行使することの方が無理筋です。

 

 

そして以前も書いた通り、中国の自国民に対する言論弾圧は、自由と民主主義を標榜する日本としては決して認められるものではありません。

 

中華人民共和国という国は、日本とは全く異なる価値観から成り立っており、自らの施政下における人間に対してはいかなる弾圧もを行います。決して日本と相容れる存在ではありません。

 

 

全く理解できないことは中国政府は日本政府に対し習近平主席の国賓訪日を求めておきながら、現在におけるまで尖閣諸島への接近を全くやめようとしません。

このような中国の覇権主義・独裁主義・弾圧主義は日本にとっても重大な安全保障上の懸念です。

この事実は全ての日本人にとって強く認識されなければならないことです。

 

 

断言できますが、中国は香港に対する弾圧を今後半世紀以内に台湾に、そして日本に対しても行ってくることでしょう。

 

 

アメリカは今回の「国家安全法」に対し強く反発し、中国に対する対決姿勢を鮮明にしていますが、日本政府は「深く憂慮する」とだけ述べ非難は避けました。

 

 

経団連や親中派政治家に対する配慮もあったのでしょうが、早い話もはや日本よりも強国となってしまった中国にビビって、ハッキリとした態度が取れなくなっているのです。

 

 

しかし、もう日和見主義はやめにしなければいけない段階にきています。

アメリカと中国が戦争をすれば、必ず日本は地理的にも国際政治的にも巻き込まれることになります。

 

 

ならば自分が所属する陣営がいずれかなのかをハッキリさせなければいけません。

有事に対し日本を守ってくれる国がどこなのか。日本と同盟を結んでいるのはどこの国なのか。

それは自明であり、であるならば現在の日本の態度はアメリカに対し非礼でさえあります。

 

 

そうでなくとも日本人は、アメリカが中国との共栄を選択し日本から撤兵することを真剣に憂慮せねばいけません。

この場合日本は以下のシナリオを歩むことになります。

 

日本という国家は滅亡するのか!?

https://ameblo.jp/kazunari-itoh/entry-12042960092.html

(2015年6月25日)

 

 

中共から見れば、米国の庇護下から離れた日本を滅亡させるのは本当に簡単です。...
人民解放軍一兵たりとも動かすことなく、
何ら血なまぐさい事態など起こすことなく、


相応の時間さえかければ日本という国の歴史は断絶します。

 

 

日本が、悠久の時間をかけて一度も断絶させることなく紡いできた歴史と文化を、この先の後世にも残すことが出来るか否かは

まさに今この時の判断にかかっているのです。

 

為政者の方々にはくれぐれもそれを忘れないようにしていただきたいと思います。

 

 

 

同じく日経一面の注目記事に

 

「米中衝突 亀裂再び」

 

というものがありました。

 

ここでは「覇権国家と新興国は衝突を繰り返してきた」という「ツキディデスの罠」の歴史について書かれています。

「ツキディディスの罠」については

 

 

65.「『ツキディディスの罠』は現実のものとなるか―米中首脳会談 南シナ海平行線、についてー」

https://ameblo.jp/kazunari-itoh/entry-12078377330.html


(2015年9月28日)

 

をご参照ください。

 

 

結論から言いますと、早晩アメリカと中国は本格的に衝突し、恐らくは戦争状態となるでしょう。

それはほとんど「歴史の必然」であるとさえ言えます。

 

 

だからこそ、日本は今度こそを決して敗戦してはならない。

間違っても日和見主義の結果どの陣営としても戦う事なく、口先だけで「平和、平和」と念仏の如く呟きながら、ただ戦場として巻き込まれるだけで国家が消失してしまうようなことだけは避けなければならない。

 

それは侍の国の末路として認められるものでは決してない。

そして現代の日本人にもかつての日本人が有していた矜持が少しでも残っているのであれば、日本は自国が標榜する自由と民主主義の理念を護る為に、同じ思想を持った国とともに戦わなければならない。

 

私はそう信じています。

 

 

 

 

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