(このブログは9月27日のfacebookへの書き込みを転載したものです)


今日の新聞1面は、
経済ネタであった日経新聞は例外として

...

読売・産経が「御嶽山噴火から1年」記事をトップに、「米中首脳会談」記事がサブという扱い。
朝日・毎日(ついで画像新潟日報)は逆で「米中首脳会談」がトップ、「御嶽山」がサブという
ちょっと以外さを感じる分かれ方をしました。

 
さて、
今回の会談でオバマ米国大統領は「『ツキディディスの罠』を信じない」と表明し
周近平中共主席は「相互信頼を増し『ツキディディスの罠』を防ぐ必要がある」と述べた
と報じられています。

 
「ツキディディスの罠」と言う言葉
恥ずかしながら私は今回初めて知ったのですが


古代アテナイの歴史家ツキディディスが著書「戦史」の中で
紀元前5世紀に古代ギリシャ世界全域を巻き込んだ戦争である「ペロポネソス戦争」が


古代ギリシャにおいて覇権都市国家であったスパルタが
新興都市国家として台頭したアテナイに恐怖心を持ったことから起こった
と指摘したことに由来する言葉で


現在の国際政治の世界においては、

 
「新興の大国は必ず既存の大国へ挑戦し、既存の大国がそれに応じた結果、戦争がしばしば起こってしまう」


という意味で使われています。
(なんだ前から書いてたことか)

 
因みに
過去1500年の間に、新興の大国が既存の大国に挑んだケースは合計15回あり、そのうち11回は戦争が起きている、といわれています。

http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/150304-1world.htm

(代表例としては第一世界大戦のドイツがあり
1871年に統一されたドイツは、その後、イギリスに代わってヨーロッパの最大の経済体となったが、ドイツの侵略行動とイギリスの反撃によって、1914年と1939年の2回にわたって世界大戦が勃発した)

 
両国はこの「ツキディディスの罠」を否定してはいますが
今回共にそれを口にしたということは、


お互いに
「このままでは遠からぬ将来に米中の武力衝突は現実のものとなる」、という強い認識を持っている事の裏返しでもあるわけです。


これが2年程前、
中共が尖閣周辺に防空識別圏を設定した時、抗争の相手は日本でした。
そして、中共は日本単独での力を見下しつつも、尖閣問題に米国が介入してくることを嫌うという態度を取りました。

 
今は違います。
南シナ海の軍事基地化は、明らかに太平洋の来るべき覇権交代を見越した行動であり、米国を相手取ったものです。
これは現代の国際社会の常識から見れば、極めて異常な態度といえます。

 
今回の首脳会談では
「両国軍用機の偶発的な衝突を回避するための文書に署名」されたということですが
果たしてそれがどこまで有効な力を持つものなのかは疑問です。

 
実際、
オバマ大統領は中国の南シナ海岩礁埋め立て(という表現の「軍事基地化」)に「強い懸念」を伝えましたが、
周近平は「中国固有の領土だ」と反論し、議論は平行線に終わりました。

 
現実には、南シナ海での中国軍機用の滑走路は既に完成していると報じられており
米国の圧力は公式に中国には通用しなかったことが白日の下に晒されることになりました。

 
先日も書きましたが、これは米国の覇権主義の終焉、冷戦後の国際秩序が公然と崩壊したことを意味しています。

 
確かに現段階において、
中共は米国と表立って軍事的な対立は起こさないでしょう。
現時点においては米国の方が圧倒的な軍事力を誇っていますし、

 
経済学者の言葉ではありませんが
「経済的に依存し合っている大国同士の戦争は起こりえない」
(因みにこの言葉が正しくない事は歴史を学べば分かる事です)
というような、
相互に経済的な結びつきを強めている状態での軍事的衝突は両国にとってメリットがありません。


しかし、それはあくまで「現時点における話では」ということに過ぎません。
この先事情はいくらでも変わる事でしょう。


そして、これは本当に残酷な現実なのですが
両国が互いの国益を探り合う中で「日本の存在」はちょいちょい置き去りにされてしまっているのです。

 
以前からずっと書いていますが
この先「ツキディディスの罠」の示す通り、米国と中共で覇権戦争が発生したならば


日本は地理上においても国際政治上においても
必ず巻き込まれます。

 
日本以外の国同士の争いで
「日本が戦場になり」「極めて多くの日本人が死ぬ」ことになるのです。


かくも日本を取り巻く情勢は深刻であるにも関わらず、
日本の国会議事堂の前で、
日本政府に対して
『戦争反対』を唱えている輩がいるのです。
彼らの主張はいかにも見当外れであり、筋違いであり
いかにも愚かしい!


しかし日本の政治はこんなのがいるせいで
いっつも止まってばっかいるのです。


まあ、そんなどうでもいい話はともかく

 
この日本存亡に関わる事案について、
どこまで日本人が主体性を持って、この両国の中に入って行けるか


今後の政権の動きに私は注視しています。