日比崎中学校物語~かずヤンキー母校に帰る~
日比崎小からそのまま日比崎中学校にあがった池永はひょんな事で不良仲間と親しくなり
その影響で急に悪ぶり始めた。
女子の横顔を見てドキドキしたり、数え切れない人間を病院送りにしたと嘘ついたり、
トイレの紙がなくなっても替えなかったり、帰りの掃除の時に使うほうきの新しいやつを自分用に
隠しておいたり、じゃんけんで負けても認めなかったり、とにかく悪いことはなんでもやった。
多分そんな池永は周りから恐れられたのだろう。誰も彼と接触しようとはしなかった。
そんな彼だったが、一人の先生だけは本気でぶつかった。池永が第一ボタンの「中」がずれてると
ようしゃなくぽこぽこにし、2階から投げ飛ばした。
先生の熱い心に感動した池永は卒業式で「必ず戻ってきます」
と言葉を残し、学校を去っていった。
その10年後ついに池永は日比中に戻ってきた。
そう。先生となって母校に戻ってきたのだ。
元々勉強の出来なかった池永は勉強のできない子の気持ちがよくわかる。
池永の授業はわかりやすく、熱血ぶりが伝わり、生徒も一人ひとり心を開いていった。
だがしかし、一人だけ石川という生徒が心を開かずに池永先生の授業中になんと
池永先生はそんな生徒にも本気でぶつかっていく。そう、あの時に自分がお世話になった
先生と同じように・・・
放課後の教室に石川を残し、じっくりと向き合い、話をきく。
人が話している時に居眠りをするなんて人間の付き合いとしてはありえないことだ。
池永はそれを石川にきっちりと教えようとした。
彼の将来のためにも。
「石川、どうして寝た?どんな夢を見た?お前には夢があるのか?」
「昨日母さんの手伝いを夜遅くまでしてたから眠かったけぇ、寝てしもうた。
夢は見たかどうか覚えてないけど夢はあるよ」
そのままぼこぼこにし、3階から投げ落とした。
「甘えるんじゃない!石川!先生はいつもそこから這い上がってきたぞ!お前も立ち上がれ!」
石川は曲がった足を引きずりながら涙を流し、叫んだ。
「池永先生!ありがとうございます!俺絶対に這い上がります!」
3月・・卒業式を控えた池永は自分のことを池永先生って呼んでくれた生徒を集め
記念撮影した。
その中にもちろん石川も入っていた。フレームに男子を入れる予定はなかったが
彼は3階から投げた時に確かに池永先生と呼んだ。
だから特別に入れてあげることにした。
「また絶対に戻ってくるけえ」
あれから10年・・・
うわさによると石川はまたここ日比中に先生として戻ってきて
伊藤将秀という生徒にてこずったそうだ。
それでも石川は諦めなかった。
ある日伊藤が石川先生の授業中にこともあろうか
教室でベッドで寝ていた。
そこまでやられてだまってるわけにはいかない。
石川は伊藤に
「おきろ伊藤!」
と叫んで伊藤の肩をつかんだが、
呼び捨てにしたという理由で
ぼこぼこにされて3階から投げ落とされた。
その後、3年一組の教室には投げ飛ばされないように窓に
取っ手が付けられたが、石川先生は坊主にして
伊藤のもとへあやまりに行ったそうだ。
石川先生の名前は石川ひかる。
本当に石川がひかるになってしまった。
まさに輝きMAXだ!
それを見て伊藤は大笑いし、石川を許した。初めて生徒に心開かせた瞬間である。
日比崎中学校は小さな学校だが
沢山の青春の物語が詰まった
最高の学校である。
みなさんの母校はどうですか?
この物語はフィクションであり実在の人物とは一切関係ありません