人の心が安定していると、天災地変の数も減る。
経済成長が年率2%を超えると自然が壊れ始める。
The North Faceの創業者、ダグラス・トンプキンスは、アパレルブランドを成功させ、資本主義の頂点にまで登り詰めましたが、49歳の時に「登る山を間違えた」と会社を売却しました。
その後、パタゴニアに巨大な土地を買い、南米大陸の生態系を破壊から守ろうという取り組みをスタートさせています。
杉やヒノキが成木になるまでに約50年かかることを考えると、自然界での適切なリズムは年率2%程度の成長ということになる。
「エネルギーをめぐる旅」という本の著者である古舘恒介さんは、インフレを除いて経済成長が年率2%を超えると、自然環境をそのままの形で維持することが難しくなるのだと言います。
長年、自然を相手にお米をつくっている農家の方が、AIを使って来年の生産性を2倍にしようと思わないのは、短期的な急成長が、長期的な成長にどう影響するかをしっかりと理解しているからなのだろう。
人の心が安定していると、天災地変の数も減るのだと言う。
そう言った意味では、精神をすり減らして成長しようとすればするほど、人の心が不安定になって、自然が破壊され天災地変が増えるという悪循環に陥っていくのかもしれない。
感性や直感など、創造性に関わる右脳を活性化させるために必要なのは、美味しいご飯や良い音楽を聴くのと合わせて、山を歩くのが良いのだと言います。
The North Faceの創業者であるダグラスは、時には家族に迷惑をかけながらも、世界中の様々な山や自然の中で時間を過ごしましたが、手ぶらで帰ってきたことはなく、自然界から必ず何か新しいアイディアを持ち帰ってきました。
そもそも、山歩きを日常的にできる国というのは、世界的にもあまり多くありません。
しっかりとした文明社会があって、山歩きができるような国は、世界でも日本とインドくらいなのだと言います。
植物には悪い氣を吸い取ってくれる力があるのだと言いますが、正しい食事をしなければ身体が壊れてしまうように、自然の中で自律性を補わなければ、欲を抑えきれずに精神が破壊されてしまうのだろう。
登る山を間違えているのだとしたら、降りられなくなる前に、引き返すべきなのかもしれない。
(リーディング&カンパニー 投稿より)