脳は、通常、30代から少しずつ萎縮が始まります。
40代で肌や体が老化する人がいるように、40代で脳の老化が進む人もかなりいます。
もしそのままなんの対策もせずにいると、脳の老化、つまり老人脳になっていくのです。
この老人脳とは、どんな状態か。具体的にはこんな人です。
私がスーパーで買い物をしていたときのことです。
レジの列の前から「なんでレジ袋に金を払わなければいけないんだ!」と怒鳴り声が聞こえてきました。
70代くらいの男性。店長まで出てきて懸命に説明しますが、理解できないようで、同じ主張をくり返すばかり。そして突然お金を投げつけて「もういい!」と怒鳴りながら、すごい勢いで店から出ていきました。
どうでしょう。これは、「老害」と言われる人たちのイメージにぴったりの状態ですね。
周りが気にならなくなる、記憶が曖昧になる、同じ主張をくり返す、感情的になる。
年齢とともにそういう傾向になる人がかなりいます。こういう行動を知らず知らずにとってしまうのは脳の老化現象の一種です。
老人脳はその人の行動や生活習慣、そして考え方にまでさまざまな変化を生じさせます。たとえばこんなことです。
●物忘れが多くなる
●集中力が続かなくなる
●無配慮になる
●ミスが多くなる
●耳が聞こえにくくなる
ここに挙げたのは症状のほんの一部です。
たとえば、若いときは近所のコンビニに行くのにもちゃんとした外着で行っていたのが、だんだん着替えるのが面倒になり、家着のままで外出したり、さらに進むと、寝間着のままで行ってしまったり……そんなこと、ないでしょうか。
これは、人目が気にならなくなることで起きます。
さらに進行すると、人に対して無配慮な人、「失礼な人」になったりします。
たとえば、列に割り込む人、電車で人を押しのけて我先に座ろうとする人、ソーシャルディスタンスを無視して近づいてくる人、自分のことばかり主張する人……。
これは、高齢の人に限った話ではありません。若い人でも、電車の中で音漏れを気にせず音楽を聴いている人は共感脳の働きが弱っています。
すぐにイライラする、自分の感情を抑えられない。
人の言うことを疑いもせず、すぐ信用してしまう。
日常でミス、間違いが多発する。
これらは脳の抑制ができていない、脳が計画を立てられない、そんなタイプの老人脳で、脳の司令塔である前頭前野が衰えている可能性があります。
お店で店員さんにぞんざいな態度をとっている人は、まさにこのタイプ。
また、オレオレ詐欺に引っかかってしまうような人も注意です。
人を適正に疑うことが苦手になり、ついつい信じてしまう。複数の視点から物事を見られなくなっている危険な状態で起こります。
計算のミスや運転中の不注意、予定のすっぽかしなど、注意や意識が行き届かずに間違いを犯してしまう人も、このタイプになります。