四回目は無い | 鬼ですけど…それが何か?

鬼ですけど…それが何か?

振付師KAZUMI-BOYのブログ



ある日稽古場で玉三郎さんが・・・

「何度言っても出来ない人は出来ないのよ。」

・・・とおっしゃった。

あれは鼓童の『神秘』の稽古の合間に、公演とは別の話をしていた時だったと思う。

「最善を尽くせない人っているからね。」

そして、こうもおっしゃった。

「三回同じ注意を受けても良くならない人って、それ以上はね、無理。」

一瞬・・・

『三回言われてダメでも四回目に良くなる可能性は?』

・・・と言う質問が頭に浮かぶが、瞬時に飲み込んだ。

『四回目に良くなる可能性がある人ならば三回目に良くなる筈・・・か、もしくは三回目に良くなる兆候が見える筈。』

玉三郎さんに、そう返されてしまう気がしたからだ。

あらゆる芸能の世界で、様々な場面で演出をなさって来た玉三郎さん。

これまた色々な人種に出会して来られた筈である。その玉三郎さんがそうおっしゃるのだから、説得力はハンパではない。

そしてそれは同時に・・・

判っていた事・・・

判っている事・・・

それを改めて声にして、言葉にして聞かせて頂き・・・

『時に無情に判断する事も必要』

・・・と言う事を改めて諭された様な気持ちになった。

何故なら・・・

『私達は遊びでやってる訳じゃないでしょう?』

・・・と言う真意が聞こえたからである。

プロ意識。

改めて自分の住む世界の厳しさを教えて頂いた様に思う。

僭越ながら私も度々、演出と言う立場に上がらせて頂く事がある。

玉三郎さんのおっしゃる事はよく解る。

また、振付師の目、インストラクターの目を通して、幾度となく見て来た事でもある。


『二度と同じ注意は受けない!受けたくない!』

そう思ってがむしゃらに頑張っていた時代・・・そして・・・

『二度と同じ失敗は繰り返さない!』

そう決心した出来事を思い出した。




出来なくて・・・

悔しい思いをするのは、悪い事ではない。

しかし・・・

出来ない自分に慣れてしまう事。

悔しい気持ちを忘れてしまう事。

これほど恐い事は無い。

既に成長が止まった証である。

当たり前だがやはり、同じ注意は何度も受けるべきではないのだ。

例え、懲りずに何度も同じ注意をしてくれる師や先輩が周りに居ても!である。

日進月歩。

しかし同時に、日に日に衰退して行くものもあるのだ。

・・・成長出来るチャンスは・・・

そう幾度も巡り来ない。

2011年7/12の記事『おはようございます』