赤と金 | 鬼ですけど…それが何か?

鬼ですけど…それが何か?

振付師KAZUMI-BOYのブログ



何年か前、心も身体も弱り果ててしまった時に、あるセミナーに参加した事がある(怪しげな宗教紛いの物ではない)。


同じ様な精神的境遇にある人達が6~7人程集まり、纏め役の『かつて同じ境遇にあった』人が会を進行して行くのである。

週に1回、全行程5回くらいのセミナーであった。


各々が自分の体験を語ったり、自分の体験に対する周りの意見を聞いたり、纏め役の体験談や意見を聞いたり、毎回様々なディスカッションが成されるのである。


そのセミナーの最終回の冒頭で、纏め役の人がテーブルの上に様々な色の折紙を数枚並べた。


「今日までのセミナーの中で皆さん色々と感じた事、思った事があると思いますが、どうでしょう?今のあなたの心境、心を色で現すとしたら何色ですか?」


皆、テーブルの上に広げられた折紙を見つめ、自分の今の心に一番見合った色を決めて行く。


私は『赤』を選んだ。


纏め役が参加者一人一人に『何色を選んだか?』また『その色を選んだ理由』を聞いて行く。


周りの参加者が選んだ色は、茶色、黒、グレー、水色。


私の番になる。


「あなたが選んだ色は?」

「赤です。」

「赤を選んだ理由は?」

「弱った自分に飲み込まれない『情熱』を取り戻したい!と、今、強く思うからです。」



その後、いつもの様にディスカッションが始まった。


そして、セミナーの終了時間が近づいた時、纏め役が再度、折紙を並べる。


「ディスカッション前と後とで、あなた達が選ぶ色はどうでしょう?また心と心境に近い色を選んで下さい。」


セミナー開始時と同じ作業が繰り返された。


選んだ色が変わらない人、変わった人、様々な反応・・・。

理由にも当然、先程よりも具体性が生まれていた。


私の番になる。


「では、あなたが選んだ色は?」


「金色。」


「何故?」


「さっき選んだ『赤』より強い色が他に見当たらないからです。」



ディスカッションが終わり、参加者同士で雑談を交わしていた時、一人の参加者が私に言った。


「僕はキミの様な個性も気も強い人とは友達になれないなぁ~(笑)」


私は苦笑を装い、その場をやり過ごしたが・・・


内心・・・


『そんな事をハッキリと当人に面と向かって言えちゃうアンタの方が気が強いんじゃない?』


・・・と言い返していた。



私はそんな事、笑顔で言えない。



この人は『強さ』を履き違えているか?或いは・・・


或いは『強い事』を表に出す事で、自分の『弱さ』を庇っているか?



それにしても・・・


『友達にはなれない』なんて事・・・


相手が『友達になって下さい』と言った訳でもないのに、自ら先に言うかね?



そんな風に首を傾げながらの帰り道、私は『元の自分』を取り戻せた事に気付いたのであった。


私は『自分の弱さ』を隠してまで、強くありたいとは思わない。


でも・・・


『自分の弱さ』を克服したい!とは思う。



何が強くて、何が弱いのか?


人は皆、両面を持ち合わせているものだが、私は大概こうして・・・


『アンタは強い!』と言う印象を周りに与えてしまう様である。



そして、その度に・・・


『そう思うなら、それでよし!』と心の中で頷くのであった。









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