みんなバックボーンが欲しいのだね。 | 奇は奇術師の奇

みんなバックボーンが欲しいのだね。

先日関西の某ショップ&バーのオーナーである

S氏と話していたときのこと。

書籍やDVDが売れない中で、

『マジックの理論書』だけが売れているという。

種仕掛けや方法が載っている本ではなくて、

マジック とは何か、演技とは何か、

というような事柄、言ってみれば理屈の書いてある本が、

価格が高くても売れるというのだ。

 

考えてみれば、今や種仕掛けはネット上で無思慮に公開され、

そこに情報としての価値はまったくなくなってしまった。

その種仕掛けを手にした者が次に求めるのが、

「いかにマジックでウケを取るか」

ということであり、

良いマジシャンになるための思想、考え、

なのだなあ。

 

どのようにして、どこに向かっていけば良いのか。

 

私自身もアマチュアの頃にI迷ったのである。

自分のやっているマジックと、そのマジック

に対する考え方が、正しいのかどうか?

独学している身としては、その点が非常に心配になった。

 

ターベルコースや、天海賞委員会の書籍に、

その答えを求めたことがある。

 

誰も、これだけあれば大丈夫という事を、

明確に示してはくれない、また提示されている内容に

納得いかない、というようなことがあり、

答えを求めて、様ざまな書籍にたよったものだった。

 

今の若者も、そんな感じなのだろうか?

 

ただし、現場を経験してきた身としては、

理屈を捏ね回しても、絶対にうまくはならない。

『自分自身でで経験して、自分自身で考える』

その姿勢がない限り、思想書や理論書は

『石のタヌキなのだ』

 

バックボーンは己自身で確立すればいいのだ。

そして、間違いを見つけたら、どんどん修正していけばいいのだ。

マジシャン100人いたら、100通りの理想、思想、があってもいいのだ。

 

若い頃の自分に一番欠けていたこと、それが

『自分を信じること』

 

だったのだからなあ。

 

ガク!の書なんか

物すごい数の実戦から生まれた理論書なんだけどね。

それを学術書みたいな立派な書籍にしないで、

漫画イラストとともにユーモアに包んでお届けするという

かなり高度なことやってのけているのだ。

 

その割には売れない。

世の中わからないなあ。