Netflixの悪魔くん | 奇は奇術師の奇

Netflixの悪魔くん

私達世代の『悪魔くん』といえば、

1966年東映制作の特撮版。

当時の怪獣ブームにのっとって

巨大化した妖怪がたくさん出てきたなあ。

不気味なオープニングに続いて、

山下毅雄氏(ルパン三世第1シーズン、大岡越前)によるジャジーな主題歌。

『エロイムエッサイム』という呪文を見事に歌にしていて、いやでも覚えてしまう。

みんなで公園に魔法陣描いて、一生懸命エロイムエッサイムと唱えたなあ。

1989年平成になって、TVアニメ版が放映

こちらも呪文が見事に主題歌に組み入れられてる。

 

この悪魔くん、原作は大きく分けて、三種類あって、

松下一郎(初期)、山田真吾(実写テレビ)、埋れ木真吾(アニメ)と。

悪魔くんが異なる人物で描かれていて、それぞれの話が別物のようでありながら、

実は関連していたりするらしい。

 

私は松下一郎版、つまり最初の貸本版と、

そのリメイクの『悪魔くん千年王国』しか読んでない。

 

百万年に1度生まれる天才少年が、地の底から悪魔を呼び出し、12使徒とともに

誰もが平和に幸せに暮らせる千年王国設立を目指して活躍する。

 

貸本版は水木しげる先生が、極貧時代に書かれたもので、

資本主義経済社会への痛烈な風刺が込められていて、読み応えがあり、好きだなあ。

復刻版 中期〜後期のような細密画のようなタッチはないけど、

描線に力があって、独特の味がある。

 

さて、昨年から新作の悪魔くんが話題になっていた。

Netflixで配信とのことなので、見てみた。

なんと、平成アニメ版の続編とのことで、今回の悪魔くんは先の主人公の

義理の息子ということになってる。メフィストも前作の息子で三世。

タイトルロゴが、貸本漫画版と同じなのが泣かせる。

 

今風のキャラで作っているだけかと思ったら、なかなかにハードな話で、

先の映画版鬼太郎『ゲゲゲの謎』と同じく、容赦ない描写がある。

悪魔との契約という点、人間の愚かさと恐ろしさ、が描かれていて、

TVアニメ版と同じように思ってみたら、とんでもなくて、度肝抜かれる。

 

まあ、原作も容赦ないからなあ。

 

面白いことは面白いけども、

水木先生のほのぼのして突き放した生死感とは、

ちっと異なるなあ。

 

まあ、TVアニメ版のキャラも出てくるし、水木ファンの方は一見の価値ありかも。

 

こうしてみると、一番水木しげる先生らしい味のあるアニメは、

深夜放送していた貸本原作通りの『墓場鬼太郎』なんだなあ。

 

 
 

 

お時間ある方は是非に。

 

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